竹島問題渦中に韓国訪問 不可解な大統領の言動

鶴保 庸介

 国会が終わり、 各政党では代表選挙が行われ、 なんだかんだ言っても本格的に 「休会」 状態の国会。 戦後最長といわれた割には成立した法案の数は極めて少なく、 あとはいつ 「解散」 するかが注目されている状態です。

 そんな中、 私は国会のルールで禁止されていた海外出張に出ることに。

 議運所属議員はすべからく国会運営に専念しなさいということですが、 ここではそのことより問題はその行先。 韓国です。

 中曽根参議院会長から日韓協力委員会なる政治経済の交流団体の勉強会が毎年開かれているが、 今年はさすがに国会議員の参加者が少なく、 麻生元総理と中曽根さんのみになっているので、 私に参加しないかと呼びかけがあったのです。

 中国、 韓国の反日活動に対しては日本国内の報道ぶりが大げさすぎるという向きはあるにしても、 この時期に行くことがはたして適当か、 正直悩みました。

 しかし、 中曽根元総理の時代から築いてきた同委員会の人脈を通して何かが見えるかもしれない。

 それに緊張感あふれる場面を経験してこちらも冷静に言うべきことを言う。 それこそが政治のあるべき姿であって、 韓国側からの招待から逃げた印象を与えてはかえって本意ではない、 と心を決めて一路ソウル金浦空港へ。

 たった1泊でのシンポジウムではありましたが、 やはり現地へ来てみると感じることが多い。 はっきり言って竹島の問題は慰安婦問題と違い、 すべての韓国人の問題意識にちゃんと上っていて、 かなり慎重に事実を重ねていかねばならないということ。

 とは言え、 ソウル市内ではアメリカのチャートで第1位を取った韓国人歌手のロックコンサートに8万人の集客があったということを考えると、 主な関心事項の一つではあっても、 逼迫(ひっぱく)感はあまりなさそうだということ。

 国を左右する大統領選挙の争点には、 ある意味もっとも過激なことを現職与党がしてしまったために争点にすらなっていない、 という状況のようでした。

 しかし、 なぜこの時期に竹島上陸、 天皇陛下謝罪要求などという常軌を逸した行動に大統領が出たのか、 いまだに理由がわかりません。

 大阪に生まれ、 24歳で現代建設という大手建設会社に就職してから36歳の若さで社長に就任。 その後、 今も語り継がれるぐらい大きな実績を残したソウル市長を経て国会議員になり、 大統領になった。 韓国では語り継がれるべき 「立志伝中」 の人であると同時に、 ソウル市長時代の人気は絶頂だったといいます。

 それが今や支持率でいうと20%台。 竹島上陸と同時にいくらかは上がったらしいですが、 その後2週間ほどですぐ落ちて変わらぬ低迷。

 世の中は経済成長率3%を維持してはいるもののインフレ率も上昇して好景気を実感できないため格差が広がり、 若年層の失業率は7・6%と、 多くの若者がかつての日本のように 「自分探し」 の迷路に迷い込んだかのよう。

 しかし、大統領としての任期最後の年になっていよいよ人気取りをする必要もないだろうし、かといって「年来やりたかった」 というほどの反日バリバリではなかったはず。

 一方、国内では『アメリカの犬』ぐらいのことを言われはしても、日本におもねる大統領なんてことを言われていた節もない。反発して男を見せる必要もなかった。

 日本との交渉で日韓EPAなど懸案を片付けるのに慰安婦問題を片付けるのが先だとしていたにもかかわらず、 日本から快い回答を得られなかったために業を煮やしたという向きもあるらしいですが、 それなら島の上陸だけでとどめておけばよかったのに、 陛下への発言は理解に苦しむ。

 以上、 あなたならこの謎をどう解きますか?

 これからも動かすことのできない隣人にじっくり注視しなければなりません。

 「けんか」 も 「共同管理」 もそれからじゃ。

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧

がんばってます

月別アーカイブ