迫力の双龍図まもなく完成 圓蔵院に奉納


制作中の天井画(一部)を前に、 田村さん㊧と後藤住職

 今にも飛び出してきそうな、 荒々しく躍動感ある龍。 阪南市の建築デザイナー、 田村茂さん(65)は、 和歌山市南相生丁の圓蔵院の本殿に奉納する天井画の制作に挑んでいる。 田村さんは 「これまでの制作活動の集大成。 ゴーっと音が感じられるような、 うねり動く迫力の龍を表現したい」 と意気込んでいる。

 田村さんは田辺市出身。 和歌山市内で仕事をしている。 制作するのは金と銀の双龍図で、 4・7㍍×13・4㍍。 6月ごろから本格的に制作に取り組み、 同市西浜の倉庫で作業。 大作のため、 パネルを分割して進めている。 現在は全体の9割が完成し、 最終の仕上げにかかっている。

 これまで能画などを描いてきた田村さんだが、 制作へ背中を押したのは、 3・11の東日本大震災が大きい。 「龍は海をつかさどる神。 この時代に龍を描くことに大きな意味を感じている」 と話し、 鎮魂の思いを込め、 自然災害を鎮める意味合いで描きたいという。

 親交のあった同院に天井画の奉納を申し出たところ、 後藤信英住職(69)は 「優しい龍は、 あかん。 邪を払うような、 荒々しい龍を」 と要望。 天井画には矢を射るような、 鋭い眼光の龍を描く。

 龍には、 しわを作った金と銀の紙を貼付。 その上から絵の具を押し込み、 こすって光沢を出すなど、 独自の技法で龍の質感を表現している。 田村さんは 「おそらくこれほどの大作は、 一生に一度きり。 試行錯誤の毎日だが、 描くほどに、 まだまだ挑戦しろと言われているように感じる」 と、 その手にも力が入る。

 制作中の天井画に、 後藤住職も 「龍の迫力に圧倒された。 和歌山で一番大きな天井画になるはず」 と完成を心待ちにしている。

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