和歌山県の海外誘客、修学旅行は過去最多


県内の観光地を紹介する海外の雑誌

 東日本大震災の影響で昨年大きく落ち込んだ外国人観光客の回復に向け、県は誘客のプロモーション活動に力を入れている。平成24年度の教育(修学)旅行誘致実績は過去最多の17校となるなど、好調な分野がある一方、団体型から個人型観光への旅行形態の変化により、旅行業者への誘客活動だけでは効果が薄くなり、県内観光地の受け入れ態勢の充実が求められる新たな課題も出てきている。県観光交流課に現状を聞いた。

 平成22年の県内の外国人宿泊者数は13万4802人だったが、震災と福島第一原発事故が発生した23年は8万338人に減少。国の外国人誘客キャンペーン「ビジットジャパン事業」が始まった15年以降で最大の下げ幅となった。

 24年の数値は未発表だが、同課は「震災の影響による落ち込みの半分は回復していればと期待している」と話す。

 海外市場に対する24年度のプロモーション活動は、アジアと欧米豪に対して現地へのセールスが31回、下見や取材活動への支援が57回で、いずれも23年度実績をやや上回った。

 実際に誘客につながったのは昨年末時点で9件。果物狩りの人気が高い台湾からは10~12月に8回のミカン狩り体験、韓国からは熊野古道トレッキングツアー、オーストラリアから高野山ツアーなどを実現した。

 教育旅行は、日本の生活を体験できる「民泊」をセールスポイントとし、過去最多の17校(台湾13、中国3、シンガポール1)874人を誘致した。

 下見・取材支援の実績では、タイの有力旅行雑誌や航空会社の機内誌への記事掲載、ドイツの日刊紙やスペインのテレビ番組での紹介などで、和歌山の観光地がPRされた。

 新たな課題としては、外国人の旅行形態が団体観光から個人型観光に変化しているのに対応し、各観光地の受け入れ環境向上に取り組んでいる。高野・田辺・白浜・那智勝浦の4エリアを対象に、本年度中に120カ所の多言語案内板の整備を進める他、特区制度を利用した全国初の「高野・熊野特区通訳案内士」を育成し、4月に事業をスタートさせる。

 地域別にみると、昨年来政治面の関係悪化がある中国からの観光客は激減し、特に官による視察旅行などはほぼゼロの状態。韓国については、個人旅行者の増加もあり、影響は少ないと見ている。プロモーションではオーストラリアに力を入れている。

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