亡き夫と合同歌集 岩橋の木村さん出版


「多くの人に感謝」 と話す真子さん

 短歌結社 「水甕」 たちばな支社代表や県歌人クラブ会長を努めた和歌山市岩橋の故木村温雄 (はるお) さん (享年77) と、 妻の真子 (まさこ) さん (91) の初の合同歌集 『潮騒 黙契』 が1年間の編集作業を経て自費出版された。 元警察官で気性が激しく頑固な温雄さんが亡くなって15年。 昭和から平成の時代背景とともに2人の人生が刻まれている。

 2人が短歌を始めたのは、 昭和37年、 同支社を創設した選者、 日比野友子さんに 「毎月歌会をしているので来ませんか」 と誘われたのがきっかけ。 温雄さんの勧めもあって真子さんが先に短歌への道を歩み出した。

 「わしはやらない」 と言っていた温雄さんも、 日々野さんの 「警察官という特殊な職業だからこそ、 あなたにしかできない歌がある」 という言葉に感化され、 次第に歌を作るようになった。 歌集には、 昭和49年からの現在までの作品、 温雄さん421首、 真子さん517首が収められている。
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麻薬の巣窟を急襲せんとパトカーに黙せる刑事の眼光鋭し (温雄)
青ですよの一語に責を感じつつ白き杖もつ歩行者見守る (温雄)  

 仕事だけでなく、 家庭でも厳しいと言われた温雄さんだったが、 人に慕われた人間味が歌の中で垣間見られる。
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歩みきて振りかへるとき潮騒をきみの声とも和歌の浦辺に(真子)
散りつくす前のしずけさ梅林に妻と吾との黙契の時(温雄)
 
 歌集は、 温雄さんの歌は 「潮騒」、 真子さんの歌は 「黙契」 と題してまとめ、 互いを思い合う夫婦の姿を表現した。 真子さんは 「(歌集で) 人生を思い出させてくれる機会をもらった。 短歌や多くの人との出会いに感謝している」 と話している。

 短歌に興味のある人は、 同支社の久保代表 (℡073・499・6505) まで。

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