命を精いっぱい―岡林さん『生きていたい』出版


著書 『生きていたい』 を手に、 岡林さん㊨と妻の知加子さん

 10万人に1人ともされるがんの手術を受け、 療養中の和歌山市梶取の岡林卓也さん(39)が、 自伝的エッセー 『生きていたい』 をKKロングセラーズから出版した。 命のありがたさや残された時間の大切さ、 今、 一秒一秒を懸命に生きること。 愛する家族へのメッセージとともに、 病気をして気付いた思いをつづった渾身の一冊で、 岡林さんは 「今ある幸せに気付き、 精いっぱい生きることを再確認してもらえれば。 この本が、 少しでも皆さんの勇気や希望になればうれしい」 と話している。

  「神様どうか、 まだ僕を呼ばないでください」
 本の冒頭は、 岡林さんの祈るような心の叫びで始まる。 岡林さんは平成23年の春、 出張先で突然胸に激痛が走り病院に運ばれた。 医師から告げられた病名は 「胚細胞性腫瘍」。 10万人に1人ともされるがんが胸部に見つかった。 たった一人でがんの宣告を受け、 真っ先に頭に浮かんだのは愛する家族、 妻の知加子さん(39)、 2人の娘・蒼空(そら)ちゃん(6)、 空兎(くう)ちゃん(3)のことだったという。

  「家族を不幸にさせることだけは絶対にしたくない」 と、 つらい抗がん剤治療にも耐え、 長時間におよぶ手術は成功。 しかし昨年の秋にがんが特殊な肉腫となって再発し、 11月に2度目の手術。 その後は放射線治療を続け、 経過は良好という。

 岡林さんは 「死への恐怖は全くなかった。 それより怖かったのは、 僕が何も残さずに、 この世を去ってしまうこと」 と話し、 生きた証を残そうと本の出版を進めてきた。 同書は、 愛する妻と2人の娘たちに宛てた長いラブレターでもある。

 著書では、 当たり前のようにある日常が、 いかに幸せに満ちているか、 病気で痛感した思いを、 家族との写真とともに優しい語り口調で記している。

  「どうせなら、 笑って楽しく」 という岡林さんは 「心の持ち方一つで、 人生はいろんな捉え方ができる。 いつまでもあるわけでない与えられた命を、 一生懸命に生きたい。 幸せをかみしめながら」 と笑顔で話している。

 1050円。 宮脇書店(和歌山店、 ロイネット店)やTSUTAYAガーデンパーク和歌山店、 インターネット通販アマゾンなどで取り扱っている。

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