発掘開始から50年 岩橋千塚古墳群


空から見た岩橋千塚古墳群(写真提供:県立紀伊風土記の丘)

 和歌山市の国特別史跡「岩橋千塚古墳群」の本格的な全面発掘調査が昭和38年(1963)に始まってことしで50年。和歌山地方史研究会(藤本清二郎会長)は16日午後1時から、同市湊本町の市立博物館2階でシンポジウム「岩橋千塚発掘着手50周年」を開く。各分野最先端の研究者5人を招き、調査の意義を確認し研究成果を振り返るとともに、今後の課題を提起する。

 同古墳群には5世紀から7世紀前半にかけて造られた前方後円墳や円墳、方墳などが800基以上あり、数の多さは全国最大クラス。県立紀伊風土記の丘はこれらを保存・公開するために昭和46年に開館した。

 また、紀伊半島最大の古墳「大日山35号墳」からは、翼を広げた鳥形埴輪(はにわ)や顔が2つある埴輪など全国で1点しか見つかっていない埴輪が出土している。

 シンポジウムでは、50年前の調査にかかわった薗田香融・関西大学名誉教授が基調講演し、4人の専門家がパネラーとして報告する。参加無料だが入館料(100円)必要。申し込み不要。

 藤本会長は「紀伊風土記の丘の由来や岩橋千塚の価値を、広く市民に知っていただきたい」と来場を呼び掛けている。

 問い合わせは藤本会長(℡073・457・7306)。

 パネラーと内容は次の通り。

 栄原永遠男・大阪市立大学教授=古代紀伊の在地勢力で、その地位を後世まで引き継いだ紀伊国造の実態および岩橋千塚との関係▽中村貞史・県立紀伊風土記の丘元館長=近畿では特異で、北九州に共通の要素を持つ同古墳群の横穴式石室について▽富加見泰彦・同丘学芸課長=特別史跡指定後の歩みと、取り巻く環境問題を映像と共に▽武内善信・市文化財専門員=黎明期の岩橋千塚調査とその背景大野雲外・徳川頼倫・南方熊楠・ガウランド

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