「水軒堤防」の廃墟等、和歌山県が撤去へ


廃墟とみられる民家が残されている堤防跡

 和歌山市西浜の県指定文化財 「水軒堤防」 (国有地) は、 長年にわたり廃墟などが不法占拠している状態になっている。 県は平成27年の和歌山国体までに全物件の撤去を目指し、 所有者との話し合いや、 警告看板を設置して退去を促す動きを強めている。 担当の港湾空港課は 「国有地は住民全体の物でなければならない。 所有者との話し合いで解決させたいが、 最悪の場合は行政代執行し、 強制撤去もありえる」 と強気な姿勢を見せている。

 問題になっているのは、 江戸時代に海岸沿いに造られた堤防上など南北約1・7㌔㍍の土地。
県が平成21年に調査したところ、 住宅・事務所が42件、 倉庫やカーポートが162件の合わせて204件が確認された。 その後に県と所有者との交渉により自主的に62件が撤去された。

 戦中、 戦後すぐごろに建てられたとみられる古い民家の多くは、 人が住んでいない状態で廃墟となっているが、 3世帯ほどが現在も生活しているという。

 同堤防沿いは長年にわたり不法投棄が続いていたが、 5年ほど前から付近住民らが市民団体を立ち上げ、 かつての松林を復活させようと清掃活動や松の植樹活動、 公園整備などを積極的に行っている。 同活動を受け、 県が長年にわたる問題の解決に向け重い腰を上げた形だ。

 一方で、 長きにわたりこの場所で生活してきた人にとって撤去は大問題。 生まれた時から同じ家で生活しているという75歳の女性は、 「県との話し合いをする心の準備はできている」 とするが、 「撤去を国体までにというが、 黒潮国体の時には何も言わなかったのに。 荷物も多いし、 住み慣れた家にこれからもいたい」 と不満を漏らしていた。

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