充実した安倍総理の外遊 同行の官房副長官の役割

世耕 弘成

 4月28日から5月4日の日程で、 官房副長官として安倍総理のロシア、 サウジアラビア、 アラブ首長国連邦、 トルコの4カ国歴訪に同行した。 5泊7日で4カ国を回る強行日程であった。

 安倍総理はロシアのプーチン大統領との会談では平和条約交渉を再スタートし加速化させることで合意。 アラブ首長国連邦とトルコでは原子力協定に署名。 そしてトルコでは猪瀬東京都知事のオリンピックに関連した失言に対応してスピーチでリカバリーショットを打つなど、 非常に充実した内容の出張であった。 参議院選挙をまぢかに控えた私にとって、 地元和歌山に帰らず海外出張することは非常に辛いのだが、 安倍総理とプーチン大統領との歴史的な首脳会談に同席するなど、 政治家としていい経験を積むことができた。

 会談内容等はすでにメディアで十分報道されているので、 総理の外国出張時の官房副長官の役割についてお話ししたい。

 官房副長官はすべての総理の会談や視察等の日程に同席・同行する。 特に首脳会談の前には会談の内容、 相手との想定されるやり取り、 相手の性格や特徴について総理、 外務省と繰り返し入念な打ち合わせを行う。 政府専用機の中には会議ができるスペースも、 日本と連絡の取れる電話、 FAX、 インターネットが装備されているので、 フライト中もそれらをフル活用してミーティングが繰り返される。 現地に入ってからも、 総理の部屋等で早朝、 夜中を問わず打ち合わせを行う。 総理は几帳面な上にタフなので、 会談内容や戦略について納得がいくまでミーティングが繰り返される。

 首脳会談中は首脳間のやり取りを一言も聞き漏らさないようにしっかりとメモを取り、 また必要な資料・データを脇に置いて、 必要に応じて総理をサポートする。

 会談終了後には会談の模様を同行記者団にブリーフィングする。 首脳会談の中身には決して対外的に公表できない内容も多いので、 事前に外務省の専門家とどの部分を公表するかを入念に打ち合わせてからブリーフィングに臨む。 新聞に掲載される会談模様の記事はこの副長官によるブリーフィングに基づいて書かれる。

 さらにそのあとは記者団との懇談がある。 ここでは会談の雰囲気やエピソードとして使えるジョーク等の内容について伝えることになる。 この懇談で副長官が話した内容は 「政府筋(または同行筋)によると」 という書き方で記事にしてもいいルールとなっている。

 首脳会談以外でも、 総理と同行記者団との 「内政懇談会」 の準備と同席、 相手国首脳と総理の共同記者会見や総理の内外記者団に対する記者会見の準備と同席、 などいろいろな仕事がある。 また晩餐会や歓迎式典にも同席するが、 私の隣には相手国の外務大臣や官房長官が座ることが多く、 外交の場として気が抜けない。

 このように総理の外遊に同行する官房副長官は多忙を極めることになる。

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