「ストリートビュー」で文化財、見に行こら


ストリートビューで見る旧中筋家住宅

 米ネット検索大手グーグルのウェブサービス「ストリートビュー」を使った文化財施設内部の公開が、県内でも続々と増えている。和歌山市では和歌山城や養翠園などに続き、市指定文化財「湊御殿」(西浜)、国指定重要文化財「旧中筋家住宅」(祢宜)の内部が今月公開された。

 ストリートビューはグーグルマップの一機能。世界中のさまざまな場所の風景が上下左右360度のパノラマ写真で楽しめる。

 市教委文化振興課によると、両施設の撮影は昨年夏に行われた。グーグル関係者2人が特殊なカメラを搭載した機材を持ち込み、施設内部を回った。湊御殿は2時間程度、旧中筋家は半日ほどの時間が費やされた。

 公開された画面では、実際に施設を訪ね、歩いて内部を見学しているような感覚が味わえ、前方風景の他に床や天井までも鮮明に確認できる。同課は「これまでは文字と写真だけの紹介でしたが、新たなシステムにより文化財にさらに興味を持つきっかけになれば」とし、「旧中筋家住宅は大広間や3階の望山楼など見られない場所もあるので、直接見学に足を運んでください」と話している。

 両施設のストリートビューにはグーグルマップで施設名を検索。市ホームページの施設紹介ページからもアクセスできる。

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 旧中筋家住宅 江戸時代末期の大庄屋の屋敷で、嘉永5年(1852)建築の主屋は、3階の望楼や20畳の大広間、広い接客空間などが特徴。昭和49年に門や蔵などの付属建物と共に重要文化財に指定された。約10年に及ぶ保存修理を終え、平成22年8月から一般公開されている。

 湊御殿 湊御殿1丁目にあった紀州藩主の別邸で、2代藩主徳川光貞(みつさだ)が元禄11年(1698)に造営。特に8代藩主の重倫(しげのり)が多用したといわれる。御殿は何度か焼失しているが、11代藩主の斉順(なりゆき)が新御殿の造営に着手し、天保5年(1834)に完成させた。明治初年に御殿を構成していた多くの建物は取り壊されたが、いくつかの建物は寺院や個人に移築されて残された。

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