2歳児虐待死 有識者検証委が初会合

男児に対し黙とうをささげる委員ら
男児に対し黙とうをささげる委員ら

 ことし7月に和歌山市神前で男児(2)が犠牲になった虐待死事件で有識者らによる検証委員会(福井以恵子委員長)の初会合が8日、同市毛見の児童相談所で開かれ、事件の事実確認や今後の委員会運営などについて議論が交わされた。5、6回の審議を経て、来年春ごろには再発防止に向けた提言の完成を目指す。福井委員長は児相でも勤務したことがある元県職員。提言作成の決意について福井委員長は「なかなか難しいけども、二度と起こらないようにと思っている」と歯切れの悪さが残った。

 委員は福井委員長の他、桑原義登教授(相愛大学)、森田みどり有田川町民生委員児童委員協議会会長(元県民生委員児童委員協議会児童部会長)、柳川敏彦教授(県立医大保健看護学部)。既設の社会福祉審議会児童福祉専門分科会措置専門部会の委員が検証委を担当する。

 傍聴が許可された会冒頭では、亡くなった男児に対し黙とうがささげられ、福井委員長が「事実の確認、問題点を検証する中で、虐待が少なくなるように思いを込めて会議を進めていきたい」と協力を求めた。事務局側の中川伸児福祉保健部長は「児童相談所が関与したにもかかわらず、幼児を守れなかったことを厳粛に受け止め、その責任を痛感している」とし「二度とこのような事態がないように取り組む」とあいさつした。
 
 検証委員会後の記者会見には、福井委員長と県子ども未来課の岡本勝年課長が出席。今回の大きな事件につながった原因の一つとして福井委員長は、生後6カ月の男児を父親が骨折させたとして逮捕送検後、検察が起訴猶予判断したその後の影響について「父親は自分は潔白だと思い込んでおり、ケースワーカーも父親の言うことを重んじすぎ事件につながった」とした。一方で「検察から処分理由を聴かせてもらえなかったこともあり(帰宅不許可は)難しかったのでは」と児相側に立った意見を出す場面もあった。

 今後の検証委員会の議論については、帰宅許可するまでの決定プロセスなどについて詳しく検証する。必要によっては、市の担当課や乳児院職員から事件についての意見を聞き、改善課題を探る予定。警察や検察など捜査当局の意見聴取は現在のところ予定していないという。

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