訪日外国人1000万人超え迫る 政務官時代からの悲願達成へ

鶴保 庸介

 報道されていますとおり、訪日外国人への消費税免税制度がいよいよ本格的に始まりそうです。
 何のことか?と言われそうなので少し説明を。

 わが国を訪れる外国人のことを「インバウンド」と言いますが、今年はこのインバウンド、本当に好調で、いよいよ史上初めて1000万人を超えるかもしれないというところまで来ています。

 何しろこの数字、小泉内閣発足時に打ち立てた「ビジットジャパンキャンペーン」で示した数字なものですから、かれこれ10年越しの悲願なのです。

 そして私は当時観光担当の国土交通省大臣政務官。

 たしか500万人超のインバウンドを2010年までに1000万人に、という「倍増計画」を直接担当させていただき、経験不足でありはしましたが、張り切っていたのを覚えています。

 しかし結果は惨敗。私の在任中ほんの少し伸びただけにおわり、目標達成は後任に託すことに。その後、毎年増えては来ているものの、その足取りは重く、結局目標の2010年になっても達成できずにいました。

 そうこうしているうちに、政権交代もあったりして国民の関心も薄れ、目標自体もあやふやになっていきました。まさに掛け声倒れ政策の典型です。

 しかし私は強くこのことを覚えていました。時を経て2012年の暮れに副大臣就任後、観光を担当するということに。先では失敗したが今度こそ、という思いを胸に真っ先に宣言したものです。

 「もう一度1000万人達成を本気でやろう」。その時の役所の反応を感じたままいうと、「また勝手なことを」というようなものだったかもしれませんが、「5年前観光庁が発足していよいよ日本の観光が変わろうとしている。しかし残念ながら本気で観光による国づくりをやってきたとは思えない。まだまだあなた方の頭の中に残っている宿題があるはずだ。それらを全て出して欲しい」

 言葉だけでなく時には直接他の役所に出向き、省庁横断の問題にも取り組みましたし、百貨店や電器街に出向いて視察もしました。日本に住む留学生に意見を聞く会を開催したことも。そうこうしてるとだんだん役所も「マジモード」。あの道路標識の英語表記化や、ASEAN諸国のビザ発給要件緩和など多くの施策が実現できたのです。

 その後私は副大臣を辞することになりましたが、中途半端にやり残したことが冒頭の外国人への免税制度改革でした。

 この問題をやり切るため、私は党の観光立国調査会の事務局長に自ら志願しました。

 現在、外国人への免税は対象品目が限られていて、化粧品や飲食物は一切含まれていません。

 韓国コスメのように日本の化粧品は外国人にとってはとても人気があって、それ自体を買いにわざわざ旅行に来る、ということも分かってきました。

 また、化粧品を「解禁」してくれるだけで売り上げは3割増しになる、と大手百貨店から「陳情」を受けたこともあります。

 また日本酒や地場のお菓子、農産物加工食品などを対象品目に加えればそれこそ地方が潤います。

 観光政策は都会だけに恩恵があるものであってはいけません。

 クールジャパンなのにそもそも今までこれらの品目が免税対象になっていなかったこと自体がおかしいのですが。

 和歌山にいるわれわれはこの機会をぜひモノにして、景気対策の一助にしてほしい。外国人と見たら、「これ買ってけよ、消費税はかからんぜ」と声のかけられる制度を作るため、副大臣を辞した今も「がんばってます」。

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