忍術伝書「正忍記を読む会」3月発足


「読む会」立ち上げに向け準備を進めるメンバー

 紀州藩の軍学者、名取三十郎正澄(なとりさんじゅうろうまさずみ)が記した日本三大忍術伝書の一つ『正忍記』でまちの活性化を図ろうと、菩提寺の恵運寺(和歌山市吹上)の山本寿法住職(46)を中心とする十数人が取り組んでいる。まずは3月の「正忍記を読む会」立ち上げに向けて準備を進めており、山本住職は「現代にも応用できる生活の知恵が詰まった秘伝書。当時書かれたものを探っていく歴史のロマンを楽しみながら読み説きたい。ぜひ皆さん、ご参加ください」と呼び掛けている。

 名取三十郎正澄(生年不詳~宝永5年=1708)は、甲州武田家に仕えた名取與市之丞(よいちのじょう)正俊を祖とする軍学名取流の〝中興の祖〟。徳川頼宣の軍学指南役として仕えた。

 正忍記は、伊賀甲賀の忍術集『萬川集海(ばんせんしゅうかい)』、服部半蔵家に伝わる『忍秘伝(にんぴでん)』に並ぶ三大忍術伝書とされる。優れた人間性、観察眼、哲学にも通じる精神性が感じられる内容との評価も高く、英語や独語、仏語などに翻訳。世界中で愛読されている。

 読む会では年に10回程度定例会を開き、『正忍記』の写本を元に、忍びの起源や種類、具体的な術を学ぶ。忍者体験や史跡をめぐる研修会なども予定。名取三十郎正澄のキャラクター化や、子ども向け絵本の制作、他の団体と協同したまちおこしも検討している。

 山本住職は「和歌山で『紀州忍者』ともいえる人が活躍していたことを、大勢の人に知ってほしい。和歌山だけでなく、広く世界に『名取』の名を広め、魅力を発信していきたい」と話している。

 発足式は3月2日午後2時から同寺で。現在会員も募っている。

 問い合わせは同寺(℡073・424・7633、メールotera@jtw.zaq.ne.jp)。

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