弥生中期の大溝確認 旧名手宿本陣の発掘調査

環濠の可能性が高い大溝
環濠の可能性が高い大溝

 紀の川市教育委員会が実施した、江戸時代の大庄屋兼藩主宿舎である史跡「旧名手宿本陣」南西部の発掘調査で、環濠の可能性の高い幅3・6㍍、深さ1㍍の大溝が見つかった。溝からは弥生土器や石器も発見されたことから、紀の川中・上流域における弥生時代集落の初現地や拠点だったことが考えられる。

 市教委によると、昨年8月に整備計画に伴う発掘調査を実施し、大溝を発見。しかし、構造や時期が特定できないことから、ことし1月にあらためて追加調査を行っていた。

 今回の調査で新たに判明した溝は、規模が水田より大きく、5㍍東側の地点でも大溝が確認できたことから、現在の本陣西半部を中心とする弥生集落を囲む防御的な溝(環濠)の可能性が高いという。平成22年度の本陣防災工事に伴う発掘調査では、紀の川流域でも最古級の弥生土器や石棒も出土していた。

 県内の同時期の弥生環濠集落は、紀の川流域では和歌山市太田黒田遺跡(中紀初頭)のみで確認されており、中・上流域では初めての発見となる。

 15日には、現地で調査成果を公開する説明会が開かれ、約40人の地区住民らが職員の説明を受けた。

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