水軒の浜で建物を強制撤去 和歌山県

重機で解体される木造の元店舗
重機で解体される木造の元店舗

 和歌山市西浜の水軒の浜で、かつての白砂青松を取り戻そうと県は20日、同所に不法建築された所有者不明の木造物件1軒を海岸法に基づき、強制撤去した。今後、3月末までに家屋や倉庫など11件を順次強制撤去する。県は遅くとも28年度までには、全物件の撤去を完了し、その後に市が公園整備を進める計画。

 同日午前10時、撤去物件の前に集合した県職員は、執行宣言を行い、業者による撤去作業を開始した。元店舗だったという建物内部は、シンクなどの他は、何もない状態で解体もスムーズに進んだ。

 同撤去の費用は、解体、廃棄処分など約60万円。建物の所有者が判明すれば所有者から徴収するという。県港湾空港課は、数多くの不法占拠の状態について「長年の県の管理が行き届いていなかった」と管理不備を認めている。

 同所一帯は過去、海水浴場として市民に親しまれていた歴史がある。しかし、工業団地や道路の整備が進んだ昭和40年代以降、家屋の不法占拠や不法投棄で浜が荒れ始めた。

 地域住民らによる松の植樹や清掃活動などで、問題が取り沙汰されるようになった平成20年度、県が行った調査では、204件の不法占拠が確認された。その後、県が所有者らと話し合いを続け、3年後には111件が自主的に撤去されたという。

 一方でいまだに倉庫や駐車場、畑など約90件が不法占拠の状態で、現在も使用を続ける民家2世帯と土木事務所1社も含まれている。

 県は、これらの物件について、ことし秋までに移転しない場合、住居以外について行政代執行による強制撤去に動くという。

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧