和歌山県内42人に決まる 春の危険業務叙勲

 警察や消防など危険性の高い業務に従事した功労者をたたえる第22回危険業務従事者叙勲(29日付)の受章者が決まった。県内の受章者は42人(警察庁30人、防衛省6人、消防庁5人、法務省1人)だった。受章者らは、5月中旬に対象の各省庁や県庁で伝達表彰され、その後に皇居で拝謁(はいえつ)する。

 受章者は次の皆さん。
 石井宏(71)元県警視、和歌山市湊▽石神賢治(71)元県警視、同有本▽小川繁(68)元和歌山市消防監、同和田▽尾﨑則男(71)元県警部、岩出市吉田▽北田勝洋(71)元県警部、和歌山市西庄▽下坊徹一(71)元県警部、同市有家▽曽和正成(71)元県警部、岩出市西野▽田中宏明(71)元県警部、和歌山市井辺▽谷脇良信(71)元県警部、同木ノ本▽中岡進(66)元海南市消防司令長、同下津町下津▽峯田智(71)元県警部、和歌山市有家▽山本富久(71)元警視正、同田尻▽大道武雄(72)元警部補、同和歌浦西▽尾浴一美(71)元県警部補、同鳴神▽小山起由(71)元県警部、同直川▽佐々木靖彦(71)元県警部、岩出市今中▽竹中啓司(72)元県警部補、同水栖▽辻明夫(71)元大阪府警部、和歌山市布引▽西口忠男(71)元県警部、同小倉▽西山良之(61)元准空尉、同金谷▽野上悦司(71)元県警部、同鳴神▽橋村一幸(61)元3等陸尉、紀の川市桃山町最上▽畑精治(72)元県警部、海南市且来▽村田進(69)元和歌山市消防司令長、同吉礼▽横浜学(72)元県警部補、同島橋西ノ丁▽吉岡義久(63)元法務事務官、岩出市水栖


小川氏


先輩、仲間、家族に感謝
 受章について「身に余る光栄。大きなけがもなく、勤め上げられたのは、当時の先輩や仲間、家族に支えられたから。感謝しています」。
 高校卒業後の昭和41年4月に拝命。消防士や救急隊員として活躍した。南消防署の警防分隊長だった同58年8月、秋葉山で発生した建物火災では先着部隊として、強風が吹き荒れ、近隣類焼により大火災の危険が高まる中、的確な指揮で延焼を阻止した。
 平成7年の阪神・淡路大震災でも現場に派遣され、火の海と化した神戸市で、夜通し消火活動に当たった。
 「それまで消防しか知らなかった自分が、一番思い出深い仕事」と表現する同13年4月、庁舎改築計画を進めていた当時、消防庁舎建設室長に就任。土地の選定や交渉、設計、調整まで担当した。視察や資料などで県外の最新消防庁舎を研究し、新庁舎の基盤を作り上げた。後輩には、「業務が複雑高度化する中で、しっかりとやってくれている。これからも頑張ってほしい」とエール。


中岡氏


円滑業務に気配り
 昭和47年1月1日から平成21年3月31日までの37年3カ月間にわたり消防吏員として活躍。旧下津町消防職員に採用されて以来、平成16年4月から17年3月まで下津町消防本部消防長を務めた。海南市との合併後は市消防本部次長兼下津消防署長や市消防本部次長兼総務課長を歴任。20年4月に市消防本部次長兼海南消防署長に就任した。
 下津町消防本部消防長時代の平成16年度は、海南市との合併を翌年に控えた時期。通常業務を遂行する一方で連日の調整で、特に人事の不公平や職員のあつれきが生じないよう努め、合併後は職員間の融和に注意をはらい、職員一人ひとりに声を掛けては日常業務を円滑に行えるよう気を配った。
 また、消防団運営に力を注ぎ、海南市と下津町の統合に尽力。団員教育の確立や施設の充実も図った。受章に「先輩後輩や同僚ら皆さんと家族のおかげ。これからも地元自主防災組織に携わり、地域の役に立てるよう努力したい」と話している。


竹中氏


「七転び八起き」の精神で
 22歳の時に警察官の道を歩み出し、新宮や有田、岩出などの各署で務めた。「七転び八起き」を心掛け、何度失敗してもめげずに立ち上がってきた。
 印象に残っている出来事は、ある地域で連続して発生した凶悪な殺人事件。当時は交通課の所属だったが、署を挙げての一斉捜査で事件に携わった。
 ある事案では、上司と共に犯人の女を尾行し、天王寺駅に現れた犯人の身柄を確保した。同課時代には主に事故捜査を担当。現場の遺留品をもとに、数ある中から容疑車両を特定するなど、「七転び八起き」の精神で地道な捜査を日々繰り返した。
 40歳を過ぎた頃からは駐在所でも勤務。当時接した地域住民とは現在でも食事をするなど、交流が続いている。「警察官をやっててよかった」と思う瞬間だ。
 受章について「非常に光栄なこと。まったく予想していなかったので感激しています。受章に恥じないよう、余生を送りたいです」と話している。

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