地域と暮らせる共生社会へ 「つばさの会」総会に参加して

浮島 智子

 先月、和歌山市精神障がい者家族会「つばさの会」の結成30周年を記念する総会に参加させていただきました。1984年9月に11人の家族が寄り合って「つばさの会」はスタートしました。当時は精神疾患について家族でさえ正しく理解できていなかったこともあり、まずは家族自らが病気に対する理解を深め、偏見をなくす努力を続け、病気を隠さないで生きていくことをモットーに結成されたとうかがいました。

 現在の会長の岡田道子さんは設立から3年後の1987年に入会、自身も家族同士で活動していくことに希望を見い出し、「家族・当事者も幸せになる権利がある」「多くの市民に障がいを理解していただくために、家族・当事者が顔を上げて、行政やマスコミ、市民に訴え続けてきた」と述べておられます。

 月に一度はJR和歌山駅前に立ち、家族、メンバーがチラシを配り、精神疾患の啓発を続けてこられました。また毎月第2日曜日の13時~15時には和歌山市保健所を会場に定例会を開催し、お互いの悩みを打ち明け、交流、勉強会、講師を招いての研修会などを行ってきました。「心の家族電話相談」も毎月第2、第4木曜日の13時~15時に続けておられます(℡073・427・9073)。岡田会長自身も湯浅町のFMラジオ局「FMマザーシップ」に月に一度出演し、自身の体験などを語る活動を続けておられます。活動での様子をうかがうと、相談電話の番号が書かれた新聞の切れ端を握ったまま長年、連絡できなかった方や、家族、周囲の偏見から一人で悩みを抱えて「つばさの会」にたどりつけない現実も多く、家族会に入っていない人にどうやって情報を届けるか、どう啓発していくかが課題だと述べられています。

 大変に申し訳ないことに、こうしたご苦労は国の施策が不十分であることにも起因しています。心の病に伴う影響は、ご本人の生活の質の低下にとどまらず、社会活動を制約され、経済的にも大変に不利な状況に置かれます。それに対して生活を支える医療・福祉などの支援体制が不十分であること、また依然として統合失調症で長期に入院している人が多い現状は、入院医療を中心にしてきた施策の結果として反省を迫られています。

 国もこうした施策を改めて今、「地域を拠点とする共生社会の実現」に取り組んでいます。保健医療体系の再構築や精神医療の質の向上、地域での生活を支える福祉サービス、ケアマネジメント、救急・在宅医療の充実、住まいの場の確保といった地域生活支援体制の強化などが課題になっています。私も政治に携わる者として、皆様のご苦労を心に刻み、障がいがあっても、ともに地域の住民として暮らしていける共生社会の実現に全力で取り組んでいく決意です。

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