WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

日本で最初の海域公園 熱帯性生物にふれられる串本

サンゴに群れる熱帯魚(提供:和歌山県)

 前号に続き「吉野熊野国立公園」について紹介する。今週は本州最南端に位置し、日本で初めて海域公園に指定、ラムサール条約にも登録された「串本海域公園」にふれたい。

 「串本海域公園」は前号で紹介の橋杭岩から東へ車で約15分。橋杭岩と共に本州最南端の串本町を代表する景勝地だ。海域公園とは、優れた景観を維持と利用を図るための制度。以前から、藻場やサンゴ礁など、海中の景観を守るため自然公園法に「海中公園地区」という制度があった。2010年4月、海中に限らず海上も含めた海域環境を守ることを目的に「海域公園地区」という制度に改定。串本海域公園が海中公園地区に指定されたのは1970年7月で、串本、天草、霧島などと同時に、日本で初めて指定された。海中公園という言葉は、読者の皆さまにもなじみのある言葉だろう。

 それから35年後の2005年、湿地の保護と利用管理を目的としたラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録。本州中部の北緯33度30分という非サンゴ礁域に位置しながら熱帯性生物の群集が見られ、世界的にも貴重な地域であることが登録の理由だ。

 全国でも数少ないイシサンゴ類の大群衆やウミトサカ類やヤギ類などの植物、これらの間を泳ぐ熱帯魚の姿や生態は、付近の海中展望塔や水族館に加え、船に乗りながら海中を眺められるグラスボートや研修設備が整ったダイビングパークなど、体験型の施設も充実。

 間もなく夏休みの到来。この夏、海の遺産ともいえる串本海域公園を訪れ、紀南の海の魅力にふれてみてはどうだろう。
   (次田尚弘/和歌山)