間伐材で地盤補強 新工法が実用化

 紀州間伐材を活用して住宅などの地盤を補強する「グラベルウッドパイル工法」の実用がいよいよ始まった。㈱オオニシ(和歌山市井ノ口、大西希則社長)が地震発生時の液状化や軟弱地盤対策として、平成21年に構想し、翌22年から開発を進めてきた新工法。20日、同市岩瀬にある新築現場で初の施工が行われ、工法普及に向けた一歩が地面に深々と打ち込まれた。

 同工法では間伐材の木ぐいを地盤に打ち込み、その周りを砕石で締め固める。木ぐいと砕石を組み合わせた柱を地中に何本もつくることで、建物の不等沈下を抑える。

 基礎構造への木ぐいの使用は法律で一部の範囲に制限されているが、同工法は「法に反しない木ぐい」として認定(一般財団法人ベターリビング・建設技術審査証明書発行)され、基礎への木材進出の道を開いた。間伐材の利用促進、林業の復興に期待がかかる。

 作業は20、22の両日に行われ、約80坪の土地に40本の木ぐいを打ち込んだ。重機で地面に深さ7㍍の円柱状の穴を開け、そこに4㍍の木ぐいと砕石を入れていった。

 近畿での施工には紀州材を使うが、遠方では運送コストがかかるため現地の間伐材を活用していくという。大西社長は「近年地震が多発する中、皆さんが一番心配されているのが液状化。今後、関東や九州にも代理店を設け、工法を普及させていきたい」と話している。

木ぐいを入れた穴に砕石を流し込む作業員

木ぐいを入れた穴に砕石を流し込む作業員

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