「観光開国」へ盛り上げよう 京都で第1回世界遺産サミット

鶴保 庸介

 NHKに先を越されましたが、先日の金曜日に京都で第一回世界遺産サミットが開催されました。

 世界遺産の指定を受けた自治体にはその地域の開発に制約があることから始まって、急増する観光客に対応するためのごみ問題やトイレ問題など、共通する悩みがあることがわかってきています。これらを共有することでより良い観光立地に向けた努力を国に働きかける試みをしないか、呼びかけたものです。また、外国人から見ても、国土面積の割には世界遺産が集積した我が国は魅力的な観光大国でもあります。インバウンドを2000万人にと意気込む我が国としては、知床と屋久島が一つになるぐらいの発想で広域観光を売り出す必要があるのでは、と観光庁に働きかけたところ、このたび世界遺産サミットとして結実することになったのです。

 当日はシンポジウムという形式をとるため客席限定で、ややお堅いイベントになったきらいもありましたが、京都市の工夫で二条城内に夜の舞台を開いてもらったことはとても感動的だったと聞いています。それぞれの開催都市で工夫をしてもらい、一般観光客が注目する一大観光イベントに育てていこうと思います。これからは順次国内の世界遺産指定都市を回っていくことも確認されましたから、一巡したらとんでもない大会になっているかもしれません。

 いずれにせよ我が国の観光は今はとにかく発信です。

 先日の予算委員会でも申し上げましたが、世界の観光大国と言われるフランスや中国が、入国審査のサービスが良かったり、Wi―Fiの整備が進んでいたり、交通アクセスが良かったりするわけではないので、いつも悩んでいました。我が国の観光政策の主眼はどこに置くべきかと。しかし、考えてみれば、かの国々は長い歴史の中で、たくさんの観光資源に恵まれていて、ほっといても内外の客がやってくる国であることは誰もが疑いません。翻って私たちはどうでしょうか?

 長い歴史の中で様々な文化を育み、一つ一つが魅力的な光彩を放っています。

 しかるに残念なことにそれらの故事来歴や特徴をうまく伝えられずにいました。

 日本人の自慢を嫌う奥ゆかしさもあったでしょうし、日本語という外国にはとっつきにくい障害もあったからともいえます。

 しかし、観光客が10人強来日してくれれば一人分の雇用が生まれるぐらいの経済効果があると知れば、皆さんはどう思うでしょうか?

 今のままで良いとは到底思えないはずです。また、これから我が国は間違いなく少子高齢化で経済力は生産性を上げなければ衰退することがわかっています。

 我が国にたくさんの人々を呼び込み、多くの文化交流を図ることこそが発展の基礎を生むはずです。

 私は様々なリスクを覚悟の上でこの国を「観光開国」したい!

 千人風呂でたくさんの外国人に川底を掘っていただきたいし、華岡青洲を偲んで世界中の麻酔医が訪れる様を想像しています。来年は高野山の開山1200年ということで、先日はお釈迦さんが生まれたネパールの大使に高野山に来ていただきました。

 観光は一人でできるものではありません。多くの人がおもてなしの気持ち、いらっしゃいの気持ちで迎えること、町のゴミを一人一人が拾うぐらいの気持ちでいることが必要です。

 このために何ができるか、ありとあらゆる観光政策を動員する覚悟です。

 手始めに、来月には高野町に観光庁から地域観光に対するニーズを聞き取る意見交換会を開催してもらう手筈になっています(全国初)。

 また、ビザも緩和します。去年はASEANのタイ、マレーシアなどの国々からの観光ビザを免除しましたが、今年は11月からインドネシアのビザを緩和することも内定しています。ご存知の通り、10月からは消費税免税もスタートしました。

 こんな中で行われた世界遺産サミット。来年は言い出しっペの和歌山県で開催が決まりました。

 相談をかけたら知事も趣旨を明快に理解してくれて是非来年にでも、ということに。

 いろんな観光イベントをやって盛り上げるぞー。楽しみにしていてください。

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