紀の川の絵画寄贈 佐和子没後30年で

著書『紀ノ川』などで知られる、和歌山市出身の作家・有吉佐和子(1931~1984)の没後30年を記念して、同市三葛の中尾安希さん(73)は、約30年前に描いた紀の川の油彩画2点を、市民図書館に寄贈した。有吉の郷土資料などを展示している同館2階に設置された。

同館2階では、有吉のサイン入りの書籍や直筆の原稿などを郷土資料として常設展示。中尾さんは「絵の紀の川を思い浮かべながら有吉佐和子さんの『紀ノ川』を楽しんでもらいたい」と、寄贈を決めた。

中尾さんは約30年前まで、約10年間を掛けて紀の川を絵の中に収めてきた。

寄贈した作品はともに20号の大きさで、かつらぎ町の船岡山(通称=蛇島)から秋空の下に流れる紀の川を描いた「流れる 紀の川・秋」、和歌山市六十谷から夕日の沈む紀の川を描いた「暮れゆく 紀の川・冬」を同館で見ることができる。

寄贈を受け、池永俊二館長(60)は「絵画の展示により、さらに郷土への関心と愛着をもってもらえたらうれしい」。中尾さんは「豊かな自然、母なる紀の川の風土が生んだ偉大な作家を、より身近に感じてもらえたら」と話していた。

中尾さんと秋㊧、冬の「紀の川」

中尾さんと秋㊧、冬の「紀の川」

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧