4~5日に1人が自殺 和歌山市

 3月の「自殺対策強化月間」に入り、県内で自殺者が最も多い和歌山市で、自殺防止への取り組みが進んでいる。同市では近年、高齢者の自殺が減少傾向にあるものの、若者の自殺者が減らない状況にある。市は「G―Pネット」や「ゲートキーパー」など、新しいさまざまな支援の輪を広げて自殺者のない社会を目指す。

 平成25年の同市の自殺者数は81人(県内221人)で、4~5日に1人が自ら命を絶っている計算。自殺者の性別は、6割程度が男性で、年齢別には、全国の統計と同様に40代から60代が約半数を占めている。

 「かかりつけ医(G)」と「精神科専門医(P)」が連携するシステム「市G―Pネット」は、同25年に市保健所と市医師会が連携して県内で初めてネットワークを構築した。同システムの手引きには、一般診療科医がうつ病を発症しているかを判断できるチェックシートが用意されている他、うつ病の恐れがある場合に使用する診療情報提供書を添付している。また、患者に病院を紹介するための精神科専門医の医療機関のリストが掲載されており、統一的に病院間で連携することにより早期治療に結び付ける狙いがある。

 ゲートキーパーとは、自殺願望がある人と、病院や行政、民生委員など必要な支援とをつなげ、見守る役割を担う人のこと。家族や同級生、同僚、近隣住民などが想定されており、全国的に広まっている取り組みで、市では3月号の市報に相関イメージ図で紹介するなど啓発に力を入れる。

 その他、市保健所では、仕事帰りでもゆっくり立ち寄ってもらえるようにと昼の相談所とは別に夜間相談所を月1回開設しており、同年には緊急を要する13人が利用するなど、心の拠り所となっている。

 同市保健対策課こころの健康対策班の井上豊英班長(52)は「市は、10万人当たりの自殺者数が25年22・1人と全国平均の20・7人を上回るなど少なくない状態」とし、「自殺者をなくす確たる対策は現在のところ存在しないのが現状だが、地道に取り組みを続け、一人でも多くの人を救いたい」と話している。

総合相談を実施 9日に弁護士会
 和歌山弁護士会(小野原聡史会長)=和歌山市四番丁=などは9日午後1~4時、自殺対策強化月間に合わせ、電話と面接での全国一斉無料相談「暮らしとこころの総合相談」を実施する。

 当日のみの電話相談回線は、「℡073・421・6055」。面接会場は同弁護士会館。問い合わせは同会(℡073・422・4580)。

「社会全体で悲しい自殺をなくしましょう」と井上班長

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