元医院の桜の庭でライブ 29日伊太祈曽

 和歌山市の和歌山電鐵貴志川線・伊太祈曽駅前の元宮本医院の庭にある大きな桜の木の下で29日、同市のジャズドラマー・瀧益生さん(71)らのバンドが「さくらコンサート」を開く。そこは、ことし1月に93歳で亡くなった宮本敬治さんが院長を務め、60年以上まちの診療所として地域に親しまれてきた場所。三女の岡﨑多佳子さん(61)は「父もきっと喜んでくれると思います」と、桜とともに音楽会を心待ちにしている。

 「いいお庭ですね。こんな場所で演奏できたら、素敵でしょうね」

 昨年の10月、瀧さんが、自身が指導する粉河高校ラテンバンドKLBが貴志川線の電車内で催すイベントの打ち合わせで、伊太祈曽駅を訪ねた時のこと。のどかな雰囲気に誘われるように庭に立ち寄った瀧さんは、庭の手入れをしていた岡﨑さんに声を掛けた。

 岡﨑さんは「春には桜が咲くんですよ。どうぞ使ってください」と快諾。宮本医院は約6年前まで敬治さんが診療にあたっていた。コンサートの開催決定は、入院中で病床にあった敬治さんに伝えられることはなかったが、敬治さんは大の音楽好きで、家族は病室でも音楽を流していたという。

 岡﨑さんは「父が残してくれたこの場所を、何か活用できないかと思っていました。大変ありがたい」と感謝する。当日は白川ひろみwith Friends(瀧さんの他、白川洋、佐藤正光、寺尾千春、佐々木智章)が出演。桜をテーマにした曲を初披露する。

 追悼の思いも込めて演奏するという瀧さんは「ほんわかと何となく聴きたくなって、何となく音楽が流れて、あぁよかったなと思ってもらえるようなコンサートになれば」と話している。

 入場無料。演奏は午後0時半から、2時半からの2回。場所は伊太祈曽駅下車すぐ。野だても予定している。雨天時は4月5日に延期。問い合わせは瀧さん(℡090・8201・8969)。

蕾が膨らむ桜の下で瀧さん㊨と岡﨑さん

蕾が膨らむ桜の下で瀧さん㊨と岡﨑さん

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