高級魚スマの越冬に成功 県水産試験場

 県水産試験場(串本町)は、人工ふ化した「スマ」の越冬に成功した。日本ではほとんど水揚げされず、県南部などでたまに定置網に交ざる程度の「幻の高級魚」。同町では1㌔2000円ほどで取引されているという。仁坂吉伸知事は「全身クロマグロのトロみたいな味でむちゃくちゃおいしい」と話し、県の養殖業の振興が期待される。

 スマはスズキ目のカツオに似た魚。種苗の生産技術の開発に当たっては、共食いが多いこと、水槽の底に沈んでしまう「沈降死」、表面張力で水面に張り付いてしまう「浮上死」が課題だった。

 同試験場は、東京海洋大学や串本町の養殖業、㈱丸東などと協力して研究。スマの餌になるシロギスを、スマ1・シロギス10の割合で一緒に飼育することで共食いを抑制。水流の強さを調整することで、沈降死、浮上死の数も軽減した。

 平成25年度は3回の種苗生産で2167尾を生産したが、26年度は1回で2226尾生産できた。その後、餌を配合飼料からイカナゴに代えることで体力アップを図り、低水温に弱いスマの越冬に成功した。

 昨年8月末に産まれた約450尾が3月末現在、全長約35㌢(500㌘)に成長している。今後、約9カ月かけて全長45㌢(1・5㌔)程度の出荷サイズまで育てる。

全長35㌢に成長したスマ

全長35㌢に成長したスマ

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