熊野古道の魅力をつづる 大上さん著書

 熊野古道を30年以上にわたって撮影し、現地を歩いて周辺の歴史や伝説などの調査を行ってきた海南市井田の写真家、大上敬史さん(56)が熊野古道を写真と文でつづった著書『熊野を駆ける 熊野古道伝説紀行』が出版された。

 大上さんは地方公務員勤務の傍ら、昭和56年から熊野古道をテーマに写真を撮り始めた。平成9年に、熊野古道の世界遺産登録を目指して発足したプロジェクト準備会に参加し、古道の踏査、研究を進め、その後の世界遺産登録に至るまで尽力している。

 19年にデンマークのコペンハーゲン市庁舎で写真展「わかやま展~高野・熊野へのいざない」を開いたのをはじめ、各地で写真展を開き、公務員退職後はフリーの写真家として活動している。

 本を出版しようと考えたのは、熊野古道の世界遺産登録後、観光客の増加とともにガイド本や解説書は多く出版されているが、地元の人が受け継いでいる伝説、民話、熊野詣の姿が紹介されていないことに気付いたのがきっかけ。

 今回の著書には、大阪府内約20カ所と県内各地の熊野古道にゆかりの深い神社仏閣や史跡、景観などが紹介され、その土地の写真や歴史、伝承なども詳しく掲載されている。大上さんが自らの足で集め、既存のガイドブックではなかなか知ることのできない137の物語を味わうことができる。

 大上さんは「昔の人が命を懸けて旅した熊野古道の魅力を、皆さんに感じていただければ」と話している。

 産経新聞出版刊。オールカラー160㌻。1600円(税抜き)。全国の書店で取り扱っている。

「知られていない熊野古道の歴史を楽しんで」と大上さん

「知られていない熊野古道の歴史を楽しんで」と大上さん

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