捕鯨文化を粘り強く発信 佐々木さんの映画制作に支援を

鶴保 庸介

いまもまだ続く捕鯨に関する闘争。

反対国はいまだに太地町の追い込み漁を「野蛮」だとして日本の水族館に圧力をかけ続けています。

加えて、捕鯨船の建造をしようとしている造船会社に嫌がらせをするのみならず、国内外を問わず鯨肉を扱う販売店に不買運動を起こすなど、ともかく捕鯨に関わるあらゆる全ての業界にいわれのない圧力をかけ、この世から捕鯨という言葉さえ消し去ろうとするかのようです。

鯨が増えすぎて魚が減っている、世界的食糧難に備えての貴重なタンパク源である、日本捕鯨は鯨の全てを利用している、など理屈をいくら並べても理解してくれません。というより理解しようとしません。鯨は知能があるから? 神聖? なのだそうです。では猿は? 馬は? カラスは? といくらでも反論したいところですが、日本文化論とも相まって不毛な論争になりそうです。

こうしたことが続く欧米社会とは永遠に分かり合えないのではないかという不信感、そして埋めようのない価値観の違いに絶望感すら抱きます。安全保障法制が議論されている昨今、今後こうした欧米社会と価値観を共有し、さまざまな事態に連携して対処していくことができるのだろうか、とは私の考えすぎでしょうか。

しかし、希望もあります。アメリカ人やオーストラリア人の中には鯨がとてもおいしいと言って食べてくれる人がいます。

太地町に反捕鯨のための取材でやってきたアメリカ人記者でも、太地町民の営みにふれ、日本と日本人をこよなく愛してくれるようになり、今では捕鯨そのものを発信してくれようとしているという人もいます。私たちはこれらの溝は必ず埋めることができると信じてその努力をするしかない。

イスラムの問題をひきあいに出すまでもなく、自分たちの価値観を押し付けることこそ世界の平和を乱すものである、という強い信念で、われわれの文化や考え方を押し付けるのではなく、粘り強く発信し、理解を求めていくしかないのだろうと思うのです。

例えば同性婚について、これまでさまざまな迫害がありましたが、連綿と続く努力のなかでいまや世界的に容認の方向であるといっていいでしょうし、少なくとも今現在認めていない国々に対して認める国が圧力をかけたり、不満を表明したりすることはないでしょう。

そんな中、われわれ日本人の中から捕鯨問題を世界に発信しようと映画を作ってくれる人が現れました。佐々木芽生さんというニューヨーク在住の日本人ですが、アカデミー賞をとってはいるものの、内容的に嘘ばかりの(繰り返します、嘘ばかりです。これを見た関係者が私を訴えてくれても構いません)映画「ザ・コーヴ」をみて、これはあまりにもひどいと義憤を感じて立ち上がってくれたそうですが、決して捕鯨翼賛の映画ではありません。日本人が鯨、海とどう向きあってきたか。日本人のずるさや温かさを等身大に描こうとする映画に仕上げたいと語っておられました。

従って、捕鯨に賛成の私が無条件で応援することはかえって彼女の意図するところと反することにもなりかねないのですが、私はみなさんに今、まだできていないこの映画を応援してもらいたい。そしてより良い映画作りを手伝ってあげてほしいと思います。そのために、映画制作資金を集めているネット上で寄付金という形で受けるという「クラウドファンディング」にご支援を賜りますようお願い申し上げます(特典もあります)。

【クラウドファンディングのページは以下の通り】
https://motion-gallery.net/projects/whalemovie
目標金額が1500万円、本日22日が募集最終日(午後11時59分まで)となっております。
映画完成のために、ぜひ皆さんのお力をお貸し下さい!

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