盲目のシンガー・ソングライター大嶋さん
全盲のシンガー・ソングライターの大嶋潤子さん(55)=東京都江戸川区=の講話とミニコンサートが7日、和歌山市屋形町のルミエール華月殿で開かれた。32歳で突然光を失い、子育てをしながら歌の世界に入った大嶋さんは「困難を乗り越えた先に、本当の幸せが待っている」と力強いメッセージを届けた。
同市のメークアップアーティスト・池端秀之さんを中心とする「化粧師秀(けわいし・ひで)の元気が出る会」の3周年記念特別企画で、約40人が参加した。
大嶋さんは32歳のとき、原因不明の急性緑内障と網膜剥離で光を失った。その後の一つ目の人生の転機は、子どもが生まれたことだったという。
子どもに何を教えてやれるかを考えたとき「不屈の精神」だったとし、「自分が教えてやれるのはこれしかない。この身をもって、この子に教えてやろうと思った」と振り返った。
最初は大変だった家事や育児も、さまざまな工夫をしながら積極的に取り組んだこと、歩行の訓練を重ね、一人で公共交通機関を使い、移動できるようになったことなどを紹介した。
そして2番目の転機は49歳。歌に出合ったことで、カンツォーネのコンクールで2年連続上位入賞し、CDデビューも果たした。歌で自分を表現する喜びは大きく「神様は私に失明という大きな試練を与えて、生きることの勇気や喜びに気付かせてくれた」。
「視覚障害には、プラスの面があり、心のスクリーンに、物事の本質を映すことができる」と言及。「これまで、そこに自分が思い描いたことを全て実現させてきた。皆さんに、私の歌や話を通じて生きる希望を持っていただくことが、この上ない喜び」と語り、ミニコンサートでは自身の半生を重ねた楽曲を披露。優しく力強い歌声が響きわたった。
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