WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

伊勢路旅⑥三重県熊野市(2)

今週は、熊野市丸山地区(旧・紀和町)にある美しい棚田を紹介したい。
熊野市丸山地区は、前号で紹介のウォータージェット船「田戸乗船場」から南東へ約8㌔に位置する集落。そこに、1340枚の棚田が広がる丸山千枚田(まるやませんまいだ)がある。
丸山千枚田は、白倉山の斜面を利用した棚田群で、広さは約7㌶。高低差約160㍍の谷間に棚田が形成され、最も小さい棚田はわずか0・5平方㍍。日本の棚田百選に選ばれ、石積みされた棚田の法面と稲が作り出す縞模様が実に美しく、棚田の全景が見える展望台からの風景は見る者を魅了する。
丸山千枚田は慶長6年(1601)に2000枚を超える田で形成されていたとされるが、昭和40年以降、稲作転換や過疎化による農作放棄が広がり、平成5年には500枚余りまで減少したという。
棚田という貴重な農耕文化を後世に伝えねばならないと、平成5年、丸山地区の住民全員が参加する保存会が結成され、棚田の復元と保全活動を開始。結成から4年で800枚余りの復元に成功し、現在は1340枚となっている。これらの活動は「熊野市丸山千枚田条例」として制定され、市民が一体となり棚田の保護に努めているという。
棚田の維持には多額の費用がかかるとされ、棚田のオーナー制度が設けられている。会費は、棚田の景観維持と保全に充てられ、オーナーは手作業による田植えや稲刈り体験、定期的に開催される地域のイベントに参加できる。募集は2月中旬から3月末まで。
丸山千枚田へのアクセスは、和歌山県側(国道169号)、三重県側(国道42号)から、いずれも国道311号を経由し、県道40号へ。地域の力で守られる棚田の魅力にふれてみては。

丸山千枚田(展望台から全景を望む)

丸山千枚田(展望台から全景を望む)


(次田尚弘/熊野市)