葛城山系の霊場を守る僧侶 後藤証厳さん

 山岳信仰の道場として名高い和歌山・大阪・奈良各府県にまたがる葛城山系を守り、文化遺産として発信する活動に取り組む真言宗の僧侶がいる。岩出市根来の後藤証厳(しょうげん)さん(51)は、「葛城連山千日回峰行(かいほうぎょう)」を満行した“阿闍梨(あじゃり)さん”として知られている。

 千日回峰行は、由緒ある霊峰で行われる密教修行で、歩行禅ともいわれる。

 後藤さんは福岡県北九州市生まれ。大阪で育ち、高野山専修学院を卒業。30代の多くを費やし、葛城連山での事相(じそう=実践的な修行)を研さんした。「成満できたのはいろいろな方々のおかげ。お山と対峙して掛け替えのない自然の尊さを感じることができた」と話す。

 現在は、1350年前に開かれたとされる「葛城二十八宿経塚」と、紀州葛城山系に点在する100カ所の山岳行所を維持するNPO法人「葛城護持院証厳坊」を立ち上げ、根来にある貴重な文化財「風吹山弁財天院」の興隆に携わるなど、文化、環境の意識啓発、向上に取り組んでいる。

 葛城二十八宿経塚は、7世紀末に修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)が友ヶ島から二上山に至る全長約120㌔の葛城山中の28カ所に法華経二十八品を埋納したとされる聖地で、山岳信仰の拠点となっている。

 高野山真言宗律師位の僧位を持ち、『犬鳴山勤行法則CD』や『新春法話集』、真言宗犬鳴山の会報誌(不動の教)などの著作、編集の仕事もある後藤さん。「修験道発祥の地ともいえる葛城の文化遺産が放置されたままになっているのは心苦しいかぎり。世界的にも名高い霊山である葛城山系は私たちの父母であることを、今一度皆さまに再認識していただければ」と、文化活動への協力を呼び掛けている。

 同NPOの活動についての問い合わせは後藤さん(℡080・1471・7055)まで。

後藤証厳さん

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