「イベント民泊」大いに活用を 地域おこしへ「一年に一度」気にせず

鶴保 庸介

今回も何を報告しようかと迷いました。参議院の改革協議会、ヘイトスピーチ、ドローン、夜間銃猟、トラック運転手の労働基準適用問題、等々。大体3カ月ぐらいの間隔で順番が回ってくるので、その間に色々ありますね(忘れてるのも多いですけど)。

でもやはり今回も観光の報告をしておきます。

私の主催する民泊問題がいよいよ大詰めに入ってきたからです。

報道では、「民泊の解禁」などともてはやされているので簡単に決まったかのようですが、実は大違い。中身はまだまだこれからの部分が多いのです。

以前にも報告した通り、民泊に関する現状を放っておくと、事業ともボランティアともつかない「違法」民泊が増えるばかりで、様々なトラブルが起きています。もちろん多くの法規制に則って事業をしている旅館ホテルの経営にも打撃を与えます。

そこでこれらを取り締まらねばならないのですが、私たちは空いている部屋を貸して欲しいと言われたから貸してあげただけ。一体なんのどの法律に違反しているのか、と居直る人たちがいる。でも反復継続して貸し出している以上、それは旅館業法の適用を受けますよ、ということで各地の保健所が立ち入り検査などをしているのですが、それではマンパワーの点で追いつかない。

じゃあ警察は、となると、例えば果たして何日営業したら旅館業法の適用を受けるのか、と反論されると明確な規定がない。

だってボランティアで泊めてあげたりする単なるホームステイを警察が取り締まるわけにはいきませんもんね。じゃあ仕方ないから旅行者の視点も取りいれながら取り締まるためにルールを作りましょうというわけでその作業をしているわけです。

ですから、民泊の解禁、などと言っていますが、あくまで取り締まるための明確な法律を作ろうとして、その結果としてそれに反しない場合は認めますよという話なのです。ここのところ最近の議論を見ていると少しミスリードがあるような気がいたします。

しかしそれでも、ルールをきっちりと作ろうよということで六月には取りまとめをいたします。

今日の報告はここから。以前からお話ししてきた(?もう自分でどこまで書いたか忘れた)ように現状でできる民泊は二つあります。

一つは部屋のオーナーが簡易宿泊所の許可をとり、事業として旅館営業すること。しかしこれは宿泊所の許可は取りやすいのですが建築基準法や消防法の許可はなかなか下ろしてくれません。よってあまり使い勝手が良くない(と思って期待できませんと厚生労働省に言ったら、反論されていましたが、その後ほとんど利用者はいない状況ですから)。

もう一つがイベント民泊です。

スポーツ大会や祭りなど、特定の期間集中的に人が集まるような場合には自治体が特定の施設を指定して、これを特別に旅館業法の適用を受けずに宿泊所とすることができるようにするものです。

これは自治体が責任を負うものとすることで、建築基準法、消防法などとの調整をスムーズにさせる意味があり、大いに活用してもらいたい、と思ってきました。そしてこの制度を活用して逆に地域でイベントを開催することを提案し、地域おこしにつなげる効果もあるのです。

そのため、この制度の概略を定めたガイドラインを全国の自治体に指し示し、普及を急ぐよう役所に指示してきました。

その結果、3月末にはガイドラインが提示され全国自治体に通達がなされたのです。

しかし、そのガイドラインには「一年に一度程度」の頻度という文言が入っていたため、現場は混乱、多くの苦情が寄せられる事態になっています。そりゃそうですよね。お祭りイベントが年の始めにあった場合、そのイベントのために一年間の「権利」を使ってしまっていいのかの判断はできませんから消極的になってしまうのです。これには観光庁には厳重な抗議をしています。そうしましたら、厚生労働省の抵抗があって正面から認めるわけにはなかなかいかない。個別対応でお願いします、とのこと。

そこで我が和歌山県内で、もしもこうしたイベント民泊の申し入れをしたときに国からの通知が「一年に一度程度」だからという理由で断られるケースがあったら、それは必ずなんとかしますから、ドンドンやっていただきたい、ということを申しておきたいのです。

なぜなら自治体が地域の旅館業者と折り合いをつけられる範囲で宿泊者を増やすとともに地域活性化を目論むものですから、なんの問題もないはずですし、無茶なことをすればその地域の旅館業者から自治体や首長がそっぽを向かれるだけです。

だからこそこのことの抗議や問い合わせが多いのです。
どうして役所はこういう思考になるのか、地方活性という意味をはきちがえてやしませんか?

抗議の意味も含めて大いに活用してやりましょう。

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