ロボットで腎臓部分切除 医大で保険適用

県立医科大学(和歌山市紀三井寺)は6月29日、腎臓にできた腫瘍をロボットを使って部分切除する手術が、保険を適用してできるようになったと発表した。

体に開けた小さな穴に鉗子(かんし=手術器具)を挿入し、医師がハイビジョンカメラの高解像度3D画像を見ながら、4本の腕を持ったロボットを遠隔操作して手術する。

同大によると、従来、腎臓がんの標準的な治療法は全摘出だったが、近年はCTなどの普及に伴い、小さい腫瘍の発見頻度が増加。腎機能を保護する観点から部分切除が行われるようになってきている。

同大ではこれまで、体に内視鏡や鉗子を挿入してロボットを使わずに施術する「腹腔鏡手術」を行ってきたが、ことし4月からロボットを使った手術に保険が適用されるようになり、同大が手術実施に必要な「施設基準」を満たしたことから、5月から施術を始めた。

ロボットは国内で約200台稼働している「ダ・ヴィンチ サージカルシステム」。同大は平成24年に導入し、前立腺の全摘除術に使用している。

ダ・ヴィンチの鉗子は腹腔鏡の鉗子に比べて動きの自由度が高いのが特長で、切除や縫合などがしやすく、腎臓の部分切除に関しては、手術のために血流を一時遮断する時間が10分以上短縮されたという。

同大での腎臓の部分切除は年間15例ほどあり、今後20~30例に増えると予想している。

ダ・ヴィンチを使った手術の様子(県立医科大学提供)

ダ・ヴィンチを使った手術の様子(県立医科大学提供)

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