脱経済成長依存のはじまり すべての人が受益する社会へ

岸本 周平

今回の参議院選挙の結果は、民進党に対する国民の支持が依然として少なく、信頼の回復がなされていないことを明確にしました。今後、党の理念や政策を改めて練り直し、二大政党政治の一役を担うことのできる政党への再出発を図るべきです。険しい道ですが、一歩ずつ進んで行きます。

私は「脱成長依存の格差是正」というコンセプトを柱に、政策を練り直すことを考えています。人口が減少し、成熟した経済の下で、いたずらに経済成長を目標にする政治には限界があります。成長=税収増=格差是正というモデルはすでに破たんしています。むろん、成長を否定しているわけではありません。しかし、まずは国民一人一人の幸福を目標にする政治に変えるべきです。

すべての子どもが、同じように必要な教育や医療を受けることができれば、子どもたちの能力が花開き、結果として日本経済の力が強くなり成長します。所得制限を付けずに、どのような家庭の子どもにも教育や医療の現物サービスを提供すること。その財源は消費税で、みんなで薄く広く負担します。すべての人が負担し、すべての人が受益する社会です。

消費税を10%に引き上げる時、その財源5・6兆円は、予定していた低年金対策、子育て支援に加え、幼児教育や大学授業料の無償化などに使うべきです。消費税を普遍的な社会保障や教育に使って、受益の実感を国民に持ってもらいます。そうすれば、さらなる増税へのコンセンサスも作りやすくなります。財政の問題は、景気による増収などで解決できるような生やさしいものではないのですから。

三党合意による税と社会保障の一体改革では、増税5%のうち4%は借金返しに使い、1%分だけが社会保障の充実に使われることになっていました。子どもや孫のためには素晴らしいことですが、今の国民にはメリットが感じられません。せめて増税の半分は直接国民にお返しすべきです。財政再建や経済成長を目的にしてはいけません。国民の幸福あっての財政であり成長です。そもそも、2020年プライマリーバランス黒字化などという、誰もが実現不可能だとわかっている目標を維持する無責任な態度は改めるべきです。財政再建至上主義も、かえって財政再建を遅らせます。9月の代表選挙に向けて、しっかりと政策と理念の再構築を行います。

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