小林さんと高校生2人が共演 日前宮薪能

和歌山の夏の風物詩、第41回「日前宮薪能」が26日、和歌山市秋月の日前宮(紀俊武宮司)境内であった。今回は県文化奨励賞受賞記念として催され、約800人が、かがり火が揺らめく中で演じられる、優美な世界を堪能した。

厳かな火入れの神事の後、大蔵流狂言「酢薑」(すはじかみ)では、茂山正邦さんと茂山茂さんが酢売りと薑(ショウガ)売りを演じ、言葉遊びを交えた互いの由緒自慢の応酬が、会場の笑いを誘った。

続く観世流能「鶴亀」は、新春を祝い、皇帝の長寿を願って鶴と亀が舞い、それを喜んだ皇帝も舞うという演目。和歌山市の観世流能楽師・小林慶三さん(84)が6年ぶりにシテを務め、風格ある皇帝を、面を着けない素顔の「直面」で演じた。

さらに、日前宮薪能の舞台は今回で5度目となる、同市出身の宮楠昂之さんと、京都の分林道隆さんの高校生2人が鶴と亀役として助演。笛や鼓の音色に合わせ、息の合った爽やかな舞を披露した。

毎年訪れているという岩出市の60代の女性は「積み重ねた深みのある舞と、若々しい舞の共演は素晴らしかったです。日本の伝統芸能が、途切れることなく受け継がれていくことを願います」と話していた。

能演後、小林さんは「体力的なものを感じ、年をとったなぁという実感ですが、何とか無事に務められました。若い2人もなかなかよく舞ってくれ、上出来です。ほっとしました」と話していた。

息を合わせて舞う宮楠さん㊨と分林さん

息を合わせて舞う宮楠さん㊨と分林さん

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