徹底した生産管理 NKアグリの野菜工場

ノーリツ鋼機(本社=東京)の子会社で、野菜の水耕栽培に取り組むNKアグリ(和歌山市梅原、三原洋一社長)で21日、野菜工場の見学会が開かれた。野菜ソムリエコミュニティ和歌山が、8月31日の「野菜の日」にちなみ、地元企業の生産方法を学び、野菜ソムリエの活動に生かそうと、同社の協力を得て実現。全国的にも注目される、徹底したデータ分析による「デジタル農業」に興味津々の様子だった。

同会会員の他、一般を含め15人が参加。同社では要望のあった小学校などに特別に見学会を開いたことはあったが、一般に公開するのは初めてという。

同社では温度や光、養液などの環境条件を自動制御装置で最適に保ち、周年計画的に一貫して行う生産システムを採用。太陽光で栽培し、約1万平方㍍の工場で、一日に約6000パックのレタスを全国に出荷している。

地當(じとう)直哉専務が、平成21年の創業時、農業経験者ゼロからのスタートだったことや、苦労話を紹介。水耕栽培では、農薬を少量または使わずに済むこと、通年安定した価格で提供できることなど、土耕栽培との違いや利点を説明した。

参加者は続いて、遮光カーテンで調節された実際の野菜工場へ。パレットに種を植え、発芽から育苗、定植といった一連の生産工程について説明を聞いた。

同社生産部の新谷浚也部長は7年間で培った技術の一端を紹介し、徹底したデータ管理に関して「気候や温度を知ると、野菜と会話ができる。消費者の声を大切に、どうすれば喜んでいただけるかの一心で、日々勉強しています」などと話した。参加者からは「水はどれぐらい使っているか」「栄養面では、どんな違いがあるのか」などの質問が上がっていた。

栽培されたレタスの試食もあり、趣味でオクラやナスなど、さまざまな野菜を育てているという同市磯の浦の中谷一さん(65)は「作物を育て、出荷してからも消費者の声を聞くなど、やはり企業目線での農業。一環したシステムを作り上げたことは素晴らしいですね」と感心。

野菜ソムリエコミュニティ和歌山の副代表、土谷千鶴さん(55)は「和歌山に住んでいながら、この工場でどんなことが行われているのか知らなかったので、皆さんに知ってもらえて良かった。より自然に近い状態で栽培し、安定した供給をされていることは、和歌山に住んでいる者として誇りに思います」と話していた。

レタス工場を見学する参加者

レタス工場を見学する参加者

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