「ほんとうの女性活躍社会とは?」 ―人権問題への挑戦

岸本 周平

今、「女性活躍社会」がキーワードです。安倍政権も女性活躍を柱にしています。しかし、その中身は取締役会の3割を女性にせよとか、女性ももっと働きやすい環境にしましょうとか、経済面でのアプローチになっています。まるで、GDP600兆円達成のための道具のような扱いです。ですから、日本の働く女性の間では評判が悪いようです。ある女性起業家は、「何が女性活躍よ。オッサンで輝いている人いるの?いたら連れていらっしゃい。女性だの男性だのと言っていること自体ピントはずれよ」とぴしゃり。

最近オバマ大統領が女性誌「グラマー」に書いたエッセイが、米国でも日本でも、働く女性の共感を集めています。オバマ大統領は、「女性活躍社会」への挑戦を人権の問題と捉えています。男性の私が読んでも、ストンとお腹に収まりました。

「女性活躍」を進めるためには、要するに、「男性はかくあるべき、女性はかくあるべし。」という私たち一人ひとりのステレオタイプな考え方自体を変えること、つまり自分自身を変えることが必要だと、オバマ大統領は言っています。女性の自立のためのこれまでの戦いは高く評価するし、法律や制度を変えることはとても重要だが、最も難しいチャレンジは、法律とは無関係な、心の中の変革を起こすことだと。

彼は、シングルマザーとして彼を育ててくれた母親や、二人の娘を育てている妻が、社会のステレオタイプな男女のあり方に苦しめられたことを指摘しています。彼自身、父親不在で育ったため、若い時に、どんな男性像を目指すのか悩みました。それも男性とはクールでマッチョでなければならないというステレオタイプのせいで。彼は、「男らしくとか、女らしく」というステレオタイプな考え方にチャレンジする中で、自分が成長できたと言います。

人々は、おむつを替える男性をほめるかたわら、専業主夫は非難するし、仕事ができて野心家の女性は生意気だと言われます。「男らしくとか、女らしく」と思っている以上、本当にLGBT(ゲイやレズビアン、トランスジェンダーなど)の問題を解決することはできないわけです。女性の活躍できる社会とは、男女の別や肌の色によって不公正な扱いを受けない、人権と平等が確保されている社会だと、オバマ大統領は語っています。私もその通りだと思います。女性も男性も関係なく、みんなが活躍できるように、一人一人の人権が尊重され、ヘイトスピーチなどの無い社会にしていきます。

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