ベナン大使に就任 紀の川市出身の小西さん

紀の川市出身で、独立行政法人国際協力機構(JICA)の上級審議役などを務めた小西淳文(きよふみ)さん(60)が、西アフリカのベナン共和国に特命全権大使として1日に赴任する。小西大使は「ベナンは誠実な人柄の人が多く、アフリカの中ではトップクラスで民主化が進んでいる。人材育成の分野でサポートを強化したい」と抱負を話している。

赴任を前に本紙の電話取材に応じた小西大使は、ベナンの現状について、「内乱が頻発しているように思われがちだが、約30年間起きていない。都市部にはビルも建ち並び、和歌山市とそれほど変わらない風景が見られるが、田舎はレンガやわらぶきの家が大半で、貧富の格差が大きい」と話す。

同国の要人への土産の一つに、県の伝統工芸品「紀州手まり」を選んだ。その理由には「興味を示す女性があれば、手まりに刺繍を施す県内の伝統工芸士を紹介し、ベナンの女性にアフリカの豊かな色彩感覚を生かした手まりを作ってもらいたい」との願いが込められている。

母校・粉河高校の後輩へのメッセージとして、「現在置かれている環境で、素晴らしい勉強ができるはず」と期待を寄せ、郷土の偉人・華岡青洲を例に「大きなリスクを背負いながらもイノベーションを起こした人が、田舎で生まれ育ったのだということを見直してほしい」と呼び掛ける。

さらに、自身の経験として、大学入試の失敗や留年、理系学部から文系学部への転部などを語り、「たとえ失敗してもそれが異なる適性の発見につながる場合もある。投げやりにならず、夢を持ち続けてほしい」と熱を込めて話した。

小西大使は旧那賀町の名手地区出身で、粉河高校、東京大学文学部を卒業し、昭和58年からJICAに勤務。在職30年のうち約15年間、途上国でのプロジェクトのマネジメントを担当。昭和62年から平成元年までコンゴ民主共和国、平成14年から18年までセネガル共和国に在勤した。

主に安全な飲料水を確保する上水道設備の設置支援を行い、現地の人の健康と、水汲みによる女性や子どもの労働解放に尽力。保健診療所や小学校の設置なども精力的に手掛けており、豊富な経験を生かして、ベナン大使としての活躍が期待されている。

小西淳文大使(JICA提供)

小西淳文大使(JICA提供)

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