映画『ちょき』 金井監督・主演2人にインタビュー

和歌山市で全編の撮影が行われた映画『ちょき』。19日には全国に先駆け、県内での先行公開が始まった。市内の美容室を舞台に、妻を亡くした美容師と盲目の少女の純愛を描いた心温まる物語で、市内の身近な風景が銀幕に映し出される。公開に合わせ、金井純一監督(33)、主演の増田璃子さん(19)、吉沢悠さん(38)が、わかやま新報本社を訪れPR。3人に撮影秘話や作品への思いを聞いた。

――ロケ地はどのようにして決めたのですか

金井 まず、和歌山市出身のプロデューサーにまちを案内してもらったんですが、東京で暮らす自分にとって和歌山の空は広く、夕日が美しいのが印象的でした。観光地以外にも歩行者とバイクが行き交う河西橋など、穏やかな紀の川とそこに架かるいくつもの橋が心に残り、映画の中に表現したいと思いました。撮影地には和歌浦天満宮や磯の浦、和歌山マリーナシティなどを選びましたが、これら以外にも雑賀崎の港町や高台など、ストーリーが生まれそうな魅力的な場所がたくさんありました。

――よい雰囲気の中で撮影が進んだそうですね

吉沢 メーンの撮影地となったじゃんじゃん横丁では、珈琲店のマスターが毎日おいしいコーヒーを淹れてくれたり、温かい食べ物や、解体された新鮮なマグロの差し入れがあったりと、冬の寒い中での撮影だったので、とても心が温まりました。

――増田さんは、全盲の少女という難しい役どころでした

増田 映画にも登場する県立和歌山盲学校で、撮影前、全盲の生徒さんにお話を聞くことができたのは大きかったですね。不自由に思うことを聞くと「日常生活で困ることはない」ときっぱり。私自身、障害をネガティブなものに捉えてしまっていましたが、その概念自体が変わるような出会いでした。しっかりと夢を持っている方で、とても尊敬しています。お話を聞いて、気負いすることなく役に挑めた気がします。

――映画には和歌山弁が使われています。

吉沢 フリーアナウンサーの宇和千夏さんの方言指導もあったんですが、宇和さんがいないときは、全く知らない周りの人に「和歌山弁分かんないんで、聞いていいですか?」って声を掛けて、合っているか確認してもらったこともありました。和歌山の方の人柄なのか、皆さんとても協力的に教えてくれたのが、ありがたかったです。

――映画を見る人に向けて、とっておきのエピソードを教えてください

吉沢 ポルトヨーロッパで直人がサキに場所を説明するシーンがあるんですが、実はそこでの会話はアドリブなんです。監督からは「お任せします」とだけ言われて。完成した映画を見て、そのまま使われていたのでビックリしました。

金井 2人の距離感が見えてきて、とてもいい雰囲気だったのでそのまま使いました。和歌山弁も自然に入って、よい映像になったと思っています。

――読者の皆さんにメッセージをお願いします

金井 映画を通じて「ちょきさんとサキ(主人公の2人)がこのまちにいる、自分たちと一緒に住んでいる」、そんな風に感じてもらえるのが一番です。見終わった後も、それぞれの皆さんの時間に寄り添ってくれるような映画になればと思います。和歌山市で生まれ、この場所でしか撮れなかった映画。だからこそ、ぜひ地元の皆さんに見ていただきたいです。

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