根来寺根来塗の伝統美 10日まで近鉄で展示
根来寺根来塗宗家・池ノ上曙山(しょざん)さん(57)と直弟子による展覧会「宗家池ノ上曙山展皿と盆の系譜~曙山と直弟子~」が10日まで、和歌山市友田町の近鉄百貨店和歌山店5階画廊で開かれている。
池ノ上さんの作品を中心に、長男の三代・池上和慶さん(25)や、日本の若き匠の技を世界に発信する「レクサス・ニュー匠プロジェクト」県代表に選ばれた松江那津子さん(35)の椀(わん)や皿、酒器など約600点を紹介。中でも、希少な五ツ椀や華やかな八寸輪花盆が展覧会に並ぶのは初めて。
池ノ上さんは根来塗研究の第一人者・河田貞氏に師事。豊臣秀吉の根来攻めにより生産が途絶えていた「根来寺根来塗」を約400年ぶりに復興し、平成12年に同寺から根来寺塗師に認定された。
中世・室町時代の高度な技法で作られた根来塗は下地が丈夫で強度があり、長年使い込んでも剥離(はくり)がほとんんどない漆器。熱湯を直接注いでも問題なく、使うほどに艶が出て味わい深くなるという。
展覧会初出品の和慶さんが手掛けるのは、モダンでシックな黒根来。美しい刷毛目の皿には、赤で一文字が波打つように大胆に塗られている。事前会場の東京や大阪では完売するほど人気で、和慶さんは「これが出発点。少しでも父に近づけるよう、今はいろんなものを吸収しながらチャレンジし、和歌山が誇る根来塗を伝えていきたい」と意気込む。
池ノ上さんは「朽ちるさまや過程が面白く、使う人と一体になるのが根来塗。使うことによって生まれる美を、ぜひ味わっていただきたい」と話している。
午前10時から午後7時(最終日は5時)まで。問い合わせは同店(℡073・433・1122)。
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