オンリー“ワン”の接客 ホテルに犬の「グウ」入社

オンリー“ワン”のスタッフと幸せいっぱいのブライダルを――。和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国(藤田裕司支配人)に15日、ゴールデンレトリバーの「グウィネス」が“入社”し、チャペル館長の辞令を受けた。ホテルが犬を正式なスタッフに迎えるのは全国でも例がないとみられ、来館者に癒やしを届ける「幸せの犬」として、活躍が注目される。

グウィネスは10歳(人間の約70歳に相当)の雌で、愛称は「グウちゃん」。同ホテル近くの同市東長町に住む前田實さん(85)が6年前から飼っている。

昨年6月上旬、グウィネスが同ホテルに迷い込んだのが交流のきっかけ。前田さんが飼い主と分かり、迎えに来るまで世話をしたスタッフたちはすっかり、人懐こく愛らしいグウィネスの魅力のとりこに。

交流が深まる中で「グウちゃんなら、ホテルのお客さまにもくつろぎと癒やしを提供してくれるのでは」と、スタッフとして迎え入れる話が持ち上がり、前田さんもこの提案を快諾。10月から研修が始まり、ブライダルフェアなどで来館したカップルを迎え、すでに8組の婚礼に参加してきた。

研修を終え、正式採用の日を迎えた15日、チャペル前庭で入社式が行われた。前田さんやホテルスタッフ、近隣の住民ら約100人が見守る晴れやかな式となり、制服として女性スタッフの青いスカーフを身に着けたグウィネスは、藤田支配人から辞令を交付され、さらに“初任給”の骨型ガムを受け取り、早速一口。ホテル各部門の管理職へのあいさつ回りを済ませ、参加した人たちと共に記念写真に収まった。

前庭には、佐藤喜久一郎総料理長が図面から設計し、スタッフが手作りした「グウィネスのじむしょ」(犬小屋)を設置。グウィネスは週末を中心に、挙式やブライダルフェアなどのイベントに非常勤で勤務する。

朝夕、グウィネスを散歩に連れて行く総務チームアシスタントリーダーの片桐美羽さんは「いとおしい。かわいくてたまりません」と、グウィネスが“同僚”となったことを喜ぶ。グウィネスの直属の上司となる販売促進チームマネージャーの松下倫也さんは「新郎新婦や皆さんに気に入られて、グウちゃんに会いに来る方が増えれば」と期待している。

前田さんは「みんなにかわいがってもらえてグウは幸せ。わが子のような存在なので私もうれしいし、幸せです」と目を細めていた。

藤田支配人㊨から初任給の骨型ガムを受け取るグウィネス(奥に座るのが前田さん)

藤田支配人㊨から初任給の骨型ガムを受け取るグウィネス(奥に座るのが前田さん)

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧