自動運転の早期実現へ 沖縄の公道で実証実験中

鶴保 庸介

 あまり大きく全国紙で取り上げてくれていないようですのでここで報告を。沖縄県で自動運転の実証実験をはじめました。内閣府のSIP事業(農業やエネルギーなど11の分野で産官学の粋を集めて先端的技術の社会実装を急がせようとする取り組み)の一つとして行うものではありますが、ソフトバンクモバイルの協力を得て、市販の小型バスを公道で走らせる国内初の試みです。

 運転手は乗っていますが、市販車に自動運転装置を装着しての実験はこの先さまざまな発展が期待されるところでもあります。例えば、過疎の村に住む交通弱者の移動手段の提供は地域を変える可能性があります。また、効率的な物流を可能にすることによって、ドライバー不足に対応できるようになるだけでなく、これまた交通利便の低い地方には朗報であります。

 私はかねてからこの自動運転の社会実装を心待ちにしておりました。古くは当選したてのころ、白浜町に高速はいらないという向きに(高速ができると温泉地白浜町に日帰りになる客が増える、と反対されていた方々がいたのです!)、自動運転時代には高速は鉄路の代わりになりますよ、と説得に行ったこともありました(その時は笑われてしまいましたが)。また近くは昨年の参議院選挙で、必ず県内で自動運転による交通弱者対策をすると『公約』したことはご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。

 私には確信がありました。国土交通省の政務官をした15年ほど前、筑波にある研究所で365日24時間、運転手のいないトラックを敷地内を走らせながら研究している技術者の皆さんが、「いつでも実用化はできます」と胸を張っていたのを知っていたからです。

 その私が科学技術担当大臣に。15年もたってまだ世界に先んじて実用化ができていないこの国をもどかしく思うのは私だけではないはずです。何かすこしでも進めることができないか。自動運転において重要な役割を果たすGPSの基盤となる準天頂衛星は、わが内閣府の打ち上げ衛星です。沖縄には内閣府が振興交付金を持ち、世界最先端の科学技術大学院大学(OIST)もあります。

 これは天の差配。やれることから、すこしでも。私のわがままとも取れる指示に奮い立ってくれた関係者には感謝の言葉もありません。

 しかし、これで止まっているわけにはいきません。今回はバスが決められた停留所に誤差なく止められるかの正着性を見たり、障害物を正確に避けて走行できるか、対向車をちゃんと認識できるかというところを中心に実験をしています。

 走行速度は30㌔程度とまあ合格点なのですが、交差点が複数あって急な車の侵入があったり、駐車車両が前方にあって対向車が迫っている場面、歩行者の動きの察知など、まだ完全な判断ができないようです。またこれらに対応する道路交通法上の整理を急がねばなりません。

 政治は結果が出て、科学技術は実装化がされて初めて意味を持つもの。国土交通省、経済産業省、総務省などがバラバラに自動運転の分野で活動をしていたのを取りまとめ、一日も早い実現をいたします。

 次は6月までに離島での実験を行い、いよいよ地方でのコミュニティバスの実現可能性を探ります。

 なお、今回の自動運転バスの様子はネットでリアルタイムに流していますので、ぜひ機会があればご覧ください。

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