醤油もろみチーズ 紀の川市の宮本さん開発

紀の川市桃山町で「ナチュラルチーズのお店コパン・ドゥ・フロマージュ」を営む宮本喜臣(よしとみ)さん(40)は、通常生乳と塩で作られるチーズを、塩を加えず醤油もろみを加えた「モロミ・フォルマッジョ(イタリア語でチーズの意)」を開発。イタリアと日本の発酵文化を掛け合わせ、10月に満を持して発売される商品に、海外からも熱い視線が注がれている。

同商品はイタリアのチーズ工房で、友人のアンドレアさんの手で作られており、宮本さんは昨年の12月末にできた試作品の段階から手応えを感じていたという。

宮本さんによると、もろみに含まれるこうじ菌が生乳のたんぱく質を分解するため、通常では何年もの熟成を必要とする、イタリア人好みのモロモロとした食感が、「モロミ・フォルマッジョ」では数カ月間の熟成で出せるという。

イタリアで権威のあるグルメ雑誌からの取材依頼があり、東京で開いた西洋料理のシェフの勉強会でも高い評価を得るなど、発売前から注目を浴び「すでに高いクオリティーはある」と宮本さんは胸を張る。

販売に踏み切るのは、宮本さんがイタリアの工房に自ら出向き、商品の品質を自分の目や舌で確認してからと、こだわりを持っている。宮本さんは渡航費の捻出方法として、2月2日から3月末までの募集期間で、80万円を目標額とするクラウドファンディングを行った。出資者特典を「『モロミ・フォルマッジョ』などオリジナルチーズ」とした同ファンディングはわずか3日間で達成。6月下旬から1週間、もろみを提供した丸新本家(湯浅町)の新古敏朗社長らと、イタリアのミラノやフィレンツェで商品紹介のイベントを行う予定を組むことができた。

元来のワイン好きが高じ、ワインに合ったチーズを求めることで「チーズプロフェッショナル」の資格を得るなどして専門店を開いた宮本さん。「大地を感じる味」と表現する「モロミ・フォルマッジョ」は日本酒に合うと感じており、イタリアのイベントでも日本酒を提供する。

「面白いから作っただけのチーズがイタリアで高評価を得た。今後、さらにその反響が発信されれば、日本が必ず注目すると思う」。宮本さんは、日本人が日本独自の文化の素晴らしさに気付き、愛する心を醸成したいという願いを、オリジナルチーズに込めている。

「フランスチーズ鑑評騎士」の称号を持つ宮本さん

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