「国際観光都市」和歌山へ 日本遺産認定で具体的行動を

門 博文

 6月18日、会期150日の通常国会が閉会しました。1月20日の召集以来、過ぎてみればアッという間の150日間でありました。改めて振り返ってみますとまずは所属している予算委員会での予算案の審議。本年も非常にスムーズに年度内の成立を果たし、さらなる景気浮揚のために遅滞なく全国各地に予算を送ることができました。その後、私にとってもそして国会にとっても最も印象に残ったのは法務委員会での「テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法を改正する法律案」の審議でした。前回の「がんばってます」にも寄稿いたしましたが、犯罪が国際化している現在では世界各国との犯罪情報の共有が不可欠です。その上、世界各地で毎日のように発生しているテロの脅威。わが国は2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を控え事前の準備、対策を周到に行わなければなりません。これらのためにも国連の「国際的な組織犯罪の防止に関する条約」を締結することが必要で、それを実現するための法律が成立したのです。一部のマスコミや一部の政党は「監視社会」が到来するという危機感を煽りまさに印象操作を執拗に繰り返しましたが、多くの良識ある国民の皆さまの理解を得て難産の末に法律が成立いたしました。今後は速やかに条約を締結しテロや組織犯罪の防止に備えていかなければなりません。
 また今国会中で最もうれしかったことは去る4月28日に「絶景の宝庫 和歌の浦」が多くの皆さまの尽力により日本遺産に認定されたことです。同時に「『最初の一滴』醸造醤油発祥の地紀州湯浅」も認定され1県で2地区のダブル認定になったことは和歌山県人として誠に誇らしい限りです。さて問題は日本遺産に認定された和歌の浦は今後どうなっていくのか、どうしていくのか。これが今回の祝事を受けて私たちに与えられた課題です。めでたい、うれしいという祝賀ムードは良いのですがその先を具体的に行動していかなければなりません。この日本遺産の制度の生みの親であり私が普段からご指導いただいているデービット・アトキンソン氏(小西美術工藝社社長)からは力強くも厳しいアドバイスを頂いています。この制度は2年前から始まりました。すでに全国で37の日本遺産が認定されています。しかし、氏曰くそのほとんどの地域で「祝 日本遺産認定」ののぼりが街中に掲げられ、また市役所や役場の庁舎にも同じような懸垂幕が掲げられただけでこの認定を契機に街を変える、変わろうとするための具体的な取り組みがなされていないということです。これでは日本遺産認定の意味が無いとの厳しい指摘です。そもそもこの制度の意図するところは地域の埋もれていた観光資源を掘り起こし観光客、観光売上を増やし地域の経済を活性化していくことに主軸がある。これに反して前述したように各地で取り組みが圧倒的に不足している状況です。何も大きなビジネスモデルを展開しようということではなく「○○饅頭」、「○○せんべい」のような日本遺産を想起させる新商品の開発や販売を始めてみることが大切だとのことです。小さな単位でも個人でも知恵を出し具体的に行動する。そして街を変える、もうける。和歌の浦はこのことにすぐに取り組むべきだと彼は語ってくれました。早急に地域の皆さまと一緒に取り組んでいくことを私も楽しみにしています。人が減り空き家が増え働く所が少ないと嘆くばかりではいけません。せっかくの機会を与えてもらったのですから私たちは勇気をもって挑戦していかなければなりません。幸いにも今日は海外からの観光客も年々増加しています。和歌の浦をWAKANOURAという文字で書きかえ眺めてみることも必要かとも思います。IRの誘致もこれから本格化していくかと思いますが合わせて「国際観光都市」としてわがふるさと和歌山を創りあげていこうではありませんか。

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