IR誘致の動向と影響 経済5団体セミナー

県と和歌山市が誘致を推進している、カジノを含む統合型リゾート(IR)について学ぶセミナーが1日、和歌山市の和歌山商工会議所で開かれ、県内の経済団体関係者ら110人が参加し、IR設置へのプロセスや地域経済への波及効果などについて、専門家の講演に耳を傾けた。

県商工会議所連合会、県経営者協会、県商工会連合会、県中小企業団体中央会、和歌山経済同友会の県内経済5団体が共同で主催した。

セミナーの冒頭、和歌山商工会議所の野田浩史企業支援部参事は「IR誘致に際しては雇用や県内事業者の採択などが推進され、県内全てが栄える施策を要望していく。きょうは世界のIRがどのような力を発揮しているのかを学びたい」とあいさつした。

国際的なビジネスコンサルティング会社、デロイトトーマツグループの仁木一彦氏と中田博之氏が講師を務め、IRの制度設計に関する日本の動向や、シンガポールの成功事例などを紹介しながら解説した。

IR推進法は昨年12月に成立し、ことし3月24日、首相を本部長とする特定複合観光施設区域整備推進本部が設置され、IR実施法案の策定に向けた議論が続いている。今後はIR誘致の区域設定に向け、地方公共団体による事業者選定の後、国によるIR区域の認定が2~3カ所に限定して行われる見通し。

仁木氏は「総合型リゾート施設のうち、カジノは全体の3%。施設の大部分は会議場や展示場、ホテルやレクリエーション施設が構想されているので、日本で最大級の宿泊施設を備える必然性が生まれる」と指摘。施設要件は、今後の国会審議を経た上で決定される流れを確認し、「国が要求する基準、さらにそれ以上を満たしている場所が選定されやすい」と述べた。

中田氏は、シンガポールのIR導入事例が参考になると強調。導入後の同国のGDPが増加を続けていることを示し、同国がIR誘致に至るまでに行った、設計や投資計画などのアイデア募集と、1社を選ぶプロセスを紹介。大阪府や北海道ではすでにアイデア募集を行っていると指摘し、今秋とみられる実施法整備以降は、各自治体による取り組みが加速することが予想されると話した。

IR誘致が観光や消費にもたらす効果を話す中田氏

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