版画家・尾﨑さんら受賞 和歌山市文化表彰

 和歌山県和歌山市の文化の向上に顕著な功績のあった個人や団体に贈られる「平成29年度市文化表彰」の受賞者が発表され、文化賞に版画家の尾﨑好昭(斎晃)さん(82)=六十谷=が決まった。文化功労賞は、文学・芸能研究で功績のあった恩田雅和さん(68)=木ノ本=と箏曲家の西陽子さん(53)=東京都=。文化奨励賞にはバイオリニストの寺下真理子さん(35)=東京都=とトンガの鼻自然クラブ(雑賀崎、中口重喜代表)が選ばれた。

 表彰式は14日午前10時から、和歌の浦アート・キューブで行われる。
同賞は昭和57年度に創設。これまで文化賞34人、文化功労賞60人・2団体、文化奨励賞32人・22団体が受賞している。

 文化賞の尾﨑さんは、失われつつある古き良き日本の風景をモノクロの木版画で表現。平成22年に日本板画(ばんが)院展華厳賞、24年に日本美術評論家大賞に輝くなど国内外で受賞歴も多い。日本板画院名誉会員。

 恩田さんは和歌山放送に長く勤め、平成3年から担当したラジオ番組「紀の国寄席」では落語の醍醐味(だいごみ)を多くの人に伝えた。19年1月には上方落語の定席「天満天神繁昌亭」支配人に就任。近代文学にも造詣が深く、「有吉佐和子作品を読む会」「和歌山漱石の会」を主宰している。

 西さんは、ジャンルを超えさまざまな楽器や芸術分野と共演。28年には台湾にある市定古跡「紀州庵」の離れの修復完了2周年記念事業の開幕式で演奏するなど国内外で活躍している。生まれ育った市で30年以上にわたり後進の指導にも取り組んでいる。

 寺下さんは市出身。東京藝術大学を経てブリュッセル王立音楽院修士課程を修了。在学中から国内の名だたるオーケストラと共演し高評価を得た。市でも積極的に公演を行っており、若手バイオリニストの一人として期待されている。

 トンガの鼻自然クラブは、雑賀崎の北端にある岬「トンガの鼻」にある遺跡「カゴバ台場」を多くの人に知ってもらおうと、地元住民が14年に結成。周辺の海岸、里山の保全活動や、「夕日を見る会」を開催し地域活性化に貢献している。

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