熊野古道の未来語る 世界遺産準備会20周年

 「熊野古道」を世界遺産に登録するプロジェクト準備会(小野田真弓代表)の発足20周年記念フォーラムが24日、和歌山県和歌山市美園町の県JAビルで開かれ、活動の歩みや未来の展望を語る講演と座談会が行われ、約70人が聴き入った。

 同準備会は、熊野古道が世界遺産登録される7年前、平成9年に発足。なにものも排除せず、多くの信仰者を受け入れてきた熊野古道の懐の深さと、世界遺産の柔軟性、寛容の精神が共通し、平和文化の創造につながるのではと活動を開始し、登録が実現した後も、登録範囲をさらに広げようと活動を続けている。

 県世界遺産センターの辻林浩センター長が「『紀伊山地の霊場と参詣道』の登録の経緯と追加登録について」をテーマに講演した後、座談会「歩みたどった20年 創りあゆむ20年」では、海南市の写真家・大上敬史さん、県国際担当参事の津井宏之さん、わかやまNPOセンター副理事長の志場久起さん、ニュース和歌山記者の林祐司さんの4人がトーク。和歌山ユネスコ協会事務局長の高垣晴夫さん、小野田代表が進行役を務めた。

 熊野古道を歩いて35年になる大上さんは、県民にもほとんど認知されず、整備もされていなかった熊野古道の当時の状況などを紹介。志場さんは「世界遺産登録への準備会の取り組みは、若者が和歌山を変えた先駆的な事例」とたたえた。

 津井さんは、昨年の追加指定の際に「海南や有田、日高地域を含めることができず残念」と話し、京都から始まる熊野参詣道全ての登録が実現する未来に期待を寄せた。林さんは「古道の補修などに加え、人がいたからこそ守られてきた文化を、今後もどう守っていくかが大切だ」と話した。

座談会で話す出席者

座談会で話す出席者

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