電車で荷物宅配 和歌山電鐵とヤマト運輸が協定

 和歌山電鐵㈱(小嶋光信社長)は5日、ヤマト運輸㈱(長尾裕社長)と貴志川線で宅配便を輸送する「貨客混載」事業を開始すると発表。5日に和歌山県和歌山市の伊太祈曽駅構内で協定書の締結式を行った。鉄道の定期運行便が宅配便の個別配送の一部を担うのは全国で初。

 ヤマト運輸ではこれまで同市太田の宅急便センターから2人のドライバーが配送していたが、神前地区が住宅密集地で道路も狭く、トラックの走行が困難で、また再配達も多かったことから、住民の生活サービス向上と路線維持のため和歌山電鐵と協定を結ぶことを決めた。

 電車に集配専用コンテナを積み込んでセンターに近い田中口駅から神前駅の2・3㌔を輸送し、神前駅からはリヤカー付き電動自転車で配送する。平日は午前7時15分、土曜祝日は7時29分田中口発の電車で配送され、日曜、月曜は運休。配送時間が早まったことで、再配達の減少も期待されている。

 締結式ではヤマト運輸の北村稔関西支社長と和歌山電鐵の小嶋社長が協定書にサイン。北村支社長は「全国の自治体や企業と連携する『プロジェクトG』の一環として、和歌山電鐵と取り組めるのはうれしい。住民の生活サービスと物流の効率向上のため取り組んでいきたい」、小嶋社長は「ネコ駅長とクロネコヤマトのネコつながりで事業ができてうれしい。荷物を早く届けられ、交通の混雑も解消し、電鐵の収入にもつながる三方良しのアイデアを頂いたことに感謝したい」と話した。

 宅配便の実施は16日から。今後は区間をさらに広げ、貴志川線の各駅に荷物の受け渡しができるロッカー「PUDOステーション」の設置もしていきたいとしている。

和歌山電鐵の「よんたま」を抱く小嶋社長㊨とヤマト運輸のスタッフら

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