水平社宣言を「世界の記憶」に 駒井さん

 部落差別に反対し1922年に「水平社宣言」を起草した人権活動家・西光(さいこう)万吉の活動を学ぶ「西光万吉顕彰会」の第5回総会が24日、和歌山県紀の川市西井阪の井阪文化会館で開かれ、水平社博物館(奈良県御所市)の駒井忠之館長が「水平社創立の思想を世界へ」と題して講演。水平社宣言は被差別マイノリティーによる世界初の人権宣言で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に登録されるべきだと訴えた。

 西光は1895年に奈良県御所市で生まれ、「人の世に熱あれ 人間に光あれ」で知られる水平社宣言を起草。1941年には妻の故郷である打田町(現紀の川市)に移住し、70年に亡くなった。

 駒井館長は、西光ら全国水平社の創設に深く関わった人物たちの写真を背に講演。水平社宣言の中に「人間」という言葉が10回登場することを紹介し、「部落差別の撤廃だけが目的のメッセージではなく、人間の尊厳と平等を追求したものだった」と強調。宣言は、被差別マイノリティーによる世界初の人権宣言で、在日朝鮮人やアイヌ民族、大阪在住の沖縄県出身者などの被差別マイノリティーに差別撤廃へ立ち上がるきっかけを提供したと説明した。駒井館長によると、宣言の影響は朝鮮半島の被差別マイノリティー・白丁(ペクチョン)にも及び、23年に朝鮮半島で差別撤廃を求める団体が結成されるきっかけになったという。

 また、水平社宣言の思想を世界的に共有するべきだと訴え、ユネスコが書物や文書などの歴史的記憶遺産を保全、公開する事業「世界の記憶」に水平社宣言の登録を目指していることを報告。2015年には水平社博物館が世界の人権に関する博物館で構成する「国際人権博物館連盟」(FIHRM)に日本から初めて登録されたことを紹介し、「水平社宣言には寛容さと多様性の精神が盛り込まれており、世界中の人が共有するに値する内容だ」と訴えた。

西光らの写真を示し講演する駒井さん

西光らの写真を示し講演する駒井さん

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