太地町舞台の映画 10月県内先行公開へ

 太地町の「くじらの博物館」をメイン舞台に撮影された映画『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』が完成し、公開を前に、主演俳優の矢野聖人さん(26)、武田梨奈さん(27)らが11日、和歌山県庁で記者会見を行った。矢野さんは「和歌山のまち並みや風景の美しさ、クジラのかわいさがたくさん詰まった真っすぐな青春映画。たくさんの方に見てほしい」と熱い思いを込めた。

 作品は同博物館を舞台に奮闘する飼育員の姿を描いた。撮影地は同町の他、串本町や那智勝浦町、新宮市の4市町のオール和歌山ロケで、昨年10月中旬から約20日間で撮影。同博物館の若い飼育員やトレーナーの実話を基に、夢を信じて突き進む勇気の大切さや怖さ、喜び、希望などを描いた愉快で爽快な青春ストーリーとなっている。

 矢野さんと武田さんが飼育員役を演じ、博物館の学芸員役を和歌山市出身の女優・岡本玲さん(27)が務める。地元住民ら延べ約300人がエキストラで出演。主題歌は県出身の清水理子さん(21)が歌う「Colorful~あなたといた時間~」。

 撮影はタイトなスケジュールにもかかわらず、期間中に2度の台風に見舞われた。岡本さんは「エキストラの方や地元の人を含め、あのメンバーだったからこそできた映画」と手応えに笑顔を見せた。飼育員役を務めた2人は、苦労話にクジラショーのシーンを挙げ、矢野さんは撮影前から飼育員の仕事を体験したことなどを紹介。「合わせ技は個人だけで成立しないシーン。僕らやクジラとのコミュニケーションがすごく大事だった」と話した。武田さんも同調し、「クジラも人間と同じで日によっては体調や機嫌が変わる。いろいろなタイミングが重なって奇跡的に撮れたシーン」と自信をのぞかせた。武田さんは営業中の博物館で練習や撮影を行っていたことも明かし、「皆さんが休憩時間なのに交代しながら教えてくれた」と現地スタッフに感謝の気持ちを述べた。

 メガホンを取った藤原知之監督(39)は「人それぞれに人生や幸せの形があっていい。そう考えてもらえるような映画になれば」と期待を込め、「映画を観た人たちにロケ地へ来てもらえることで、やっと恩返しができる」と世話になった4市町への感謝の気持ちを表した。

 同日は県庁の仁坂吉伸知事を訪ねて映画の完成を報告。見どころなどを話した。

 映画は10月12日から和歌山市の映画館など県内3カ所で先行公開する。11月3日からは東京や大阪、名古屋で順次、公開が始まる。

メインキャストら皆さん(左から藤原監督、武田さん、矢野さん、岡本さん、清水さん)

メインキャストら皆さん(左から藤原監督、武田さん、矢野さん、岡本さん、清水さん)

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