自分の能力諦めないで メダリスト有森さん

バルセロナ、アトランタ五輪女子マラソンメダリストの有森裕子さん(51)を迎えた講演会が25日、和歌山県和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で開かれた。有森さんは「夢はかなう~あきらめない心を持って~」を演題に「思い一つで人生は変えていける。大人が諦めずに能力を信じ、その姿を子どもたちにも示してもらえれば」とメッセージを送った。

きのくに信用金庫が25周年特別講演会として企画し、約600人が来場した。

有森さんは小学生の頃、ある体育の先生との出会いをきっかけに視野が広がったことを紹介。「一つ、何でもいいから頑張り続けられるものがあればいい」とアドバイスを受け、努力していると周りが応援してくれ、それによって自分のパフォーマンスも向上すること、さらにそれを見た人も喜んでくれるといった連鎖が生まれることに気付いたという。

中学校の運動会では、誰も出たがらない800㍍走に、チャンスだと思って出場。練習を重ねて優勝したエピソードを披露した。

陸上部に入ったのは高校から。強豪校で門前払いを受けたが、粘り強く顧問にアピールしたことで仮入部が認められるも、駅伝は3年間補欠。恩師の言葉を胸に、自分を奮い立たせて日体大に進学し、実業団へ。

インターハイも国体も出場経験がなく、全くの無名選手だったが熱い思いを伝え、当時苦境にあったリクルートの小出義雄監督(当時)に「立派な肩書きを持ってる、いないは関係ない。大事なのは、やる気をどれだけ持っているか」と言わしめ、入社に至るまでを振り返った。

有森さんはマラソンの声援を例に「応援されるということは、あなたがそこに存在して、一生懸命頑張っているという最たる証し」とスポーツの魅力を語り、「応援される人だけでなく、応援する人も、自分の言葉を受けて前に進む人の姿に存在意義を感じる。この両者に最高のエネルギーを生めるのがスポーツ」と力説。「パフォーマンスする人だけでは意味がない。ぜひ、皆さんもどんな現場でも周囲の人を応援してほしい」と話した。

「応援されるのは、自分の存在意義が感じられる瞬間」と有森さん

「応援されるのは、自分の存在意義が感じられる瞬間」と有森さん

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