持続可能な地域社会の構築へ 二つの明るい兆し見え始める

石田 真敏

大臣就任から4カ月がまたたく間に過ぎました。ご期待に沿えるよう本当に分刻みの日程をこなしながら取り組んでいます。
そうした中、いよいよ通常国会が始まりました。今年は皇位継承、さらに大阪で開催され議長国を務めるG20、そして統一地方選挙と参議院選挙など最重要行事が続きます。気を引き締めて頑張ります。
通常国会で議論される今回の予算案で特筆すべきは、「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」です。概ね3カ年で事業費7兆円を費やし、河川・砂防・道路・ため池、通信基盤整備、避難所の蓄エネ設備など、事前の対策で災害を極小化するものです。この対策は、国民生活の安心・安全と同時に景気の下支えにも有効です。
また、地方の自治体が平成31年度も安心して行政運営できるようしっかり取り組んできました。年末に編成した予算案・税制改正案は、一般財源総額の確保や地方法人税の偏在是正など地方団体から評価いただける案ができました。
他の法案とともに、一刻も早く成立できるよう懸命に取り組みます。
さて、「地方の疲弊も東京一極集中も限界である」状況をどう改善していくかが、大きな課題です。そして、この解消のためには、働く場・生活支援サービス・担い手がそろった「持続可能な地域社会の構築」が必要ですが、ようやく二つの明るい兆しが見え始めました。
①「生活環境を変えたい」という若者が増えています。東京で移住相談に訪れる人は年々増加し、去年は4万人のうち20代、30代で50%を超え、40代を含めると70%を超えました。
また、ある研究者の調査によれば、東京・神奈川・大阪からの地方移住希望者は家族を含めて100万人を超えるそうです。担い手の確保に明るい兆しです。
②社会のあらゆる分野に大きな変化をもたらす「Society5・0の実現」が、政府の成長戦略の第一に位置づけられました。Society5・0に象徴される技術を使えば、今までにない効果を発揮し、新たな状況を生み出せると考えます。どこからでも世界とつながって仕事ができ、どこでも教育や医療など必要な生活支援サービスを利用できるようになります。
ただ、Society5・0の概念はいまだほとんど認識されていません。たとえば多言語音声翻訳機のように、すでにある技術で地方を大きく変えるものもあるし、今後の進化によりさまざまな分野で社会全体を、そして地方をさらに大きく変えうるものもあります。
このトレンドへの対応によっては、都市間格差・個人間格差が取り返しのつかないほど大きくなりかねません。それだけに何としてでも、地方にとってチャンスにしていかなければなりません。
以上のような状況を捉えて、総務省では「地域力強化戦略本部」を立ち上げました。1月から「Society5・0時代の地方」をキーワードに、革新的技術の実装例・導入支援策を全国の首長と共有し、また地方からも優良事例や必要な施策の提案をいただくなど双方向かつ持続的なやり取りを行うことで、Society5・0の進化に伴う「持続可能な地域社会の構築」を目指したいと考えています。

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