地形観察にVR活用 和大付中で県内初授業

教育現場に最新の技術や機器を導入し、授業の充実を図る取り組みが進められている中、和歌山大学付属中学校(和歌山県和歌山市吹上、矢野勝校長)で12日、VR(バーチャルリアリティー)を使った理科の授業が行われ、1年生が県内各地の地形の映像をVRで体感しながら、県の地質を学んだ。同校によると、VRを活用した中学校の授業は県内で初めて。

「地質学から学ぶ和歌山県の大地の成り立ち」がテーマの授業で、岩石標本の観察や校外学習などの直接体験に加え、VRを使って360度の映像で地形を観察する間接体験を通して、さまざまな地形に富む和歌山への理解を深めることを目的としている。

この日、1年D組の生徒35人は4人程度のグループに分かれ、南紀熊野ジオパーク推進協議会が作成した資料を使い、「付加体」「前弧海盆堆積体」「火成岩体」などの地質用語の意味を調べ、岩石標本を観察して地域ごとの地質年代を学んだ。

生徒は学習の中で、理科担当の矢野充博教諭が実際に足を運んでドローンで撮影した県内8カ所(潮岬、志原海岸、橋杭岩、古座川一枚岩、宇久井半島など)の地形を、VRゴーグル「Oculus Go」を装着して観察。目の前にあるかのように360度に広がるVR映像に、「すごく立体的」「面白い」などと興奮の声を上げながら、地形の特徴を話し合ってレポートにまとめた。

西本一平君(13)は「海岸や断層の様子がVRを使うと詳しく見られたのでうれしい。知らないことが分かって楽しい」、惣内鈴さん(13)は「岩や地層をじっくり見たことがなかったので、さまざまな地形、地層が学べて良かった。同じ紀伊半島でも崖の種類などが違うのは面白かった」と、VRを使った学びを楽しんでいた。

矢野教諭は「さまざまな地形の観察を通して、大地とつながることの大切さを学んでほしい。長い歴史に育まれた環境の中で私たちが生かされているという感覚を持ってもらえたら」と話している。

この授業では今後、15日に校外学習で由良町の白崎海岸と白浜町の志原海岸を訪問し、地質観察会を行う。振り返り学習の後、タブレット端末を使って付加体、前弧海盆堆積体、火山岩体ができるまでを画用紙や紙粘土で表現したコマ取りムービーを制作し、観賞する。

VRゴーグルで地形を学ぶ生徒ら

VRゴーグルで地形を学ぶ生徒ら

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